ウィズコロナにおけるアニメの「演奏」——「Vivy -Fluorite Eye's Song-」と「takt op.Destiny」について

はじめに

 所属する大学院で受ける最後の授業は、オンラインだった。


 私は今年、大学院を修了する。長年在籍してきたなかでそれ程大きな変化も感じないまま私は数年間の院生生活を過ごしてきたのだが、それでもなお、新型コロナウイルスに関係する最後の数年間は凄まじかった。人文学を専門とし、実験を一切しない院生だった自分にとっては研究上では深刻な影響もなく、オンライン会議ツールがあればさほど何も問題はなかったのだが、最後の授業がオンラインになったという事実に直面して、初めて自分がコロナ世代の学生という意識を持つことになった。


 どちらかといえば、学生/院生としての活動に新型コロナウイルスは大して影響を及ぼさなかったのだが、一方で学生以降ずっとしていた音楽活動に関しては、致命的なほど影響を受けてきたと思う。ukiyojinguはもともとバンドありきでスタートしたが、ちょうど次のライブを検討していた2020年4月ごろには各地で感染に関する話題が出始めていて、結果的に出演キャンセルになってしまった。バンドはそのまま活動を休止し、今では作曲と文筆がメインとなり、ライブは年1回ほどのペースを2020年以降は維持している。それでもなお、私は2010年代前半は散々ライブをしてきた身である。そんな私だからこそ、今現在にバンド盛りを過ごす学生の胸中は計り知れない。京都では二条GROWLYというライブハウスが中心となって様々な活動をしているのはSNS上でよく見てきたし、そうした活動がぜひ、今の学生たちにライブをする場所を提供できるようになれば良いなと思う。京都GROWLYには私もよく出演させていただいたものだ。


 もうじき学生でなくなってしまう私は、学位論文の提出締切に追われながらも、一方でもうじき失うそれを惜しむように、学割が適用される間にあらゆるものを嗜んでいた。大学に入学以降、ずっとAmazonプライム会員であった私は、学生会員として比較的安い値段でアニメや映画が見放題だ。これまでも安く見れる貴重な機会を逃すまいと、いろいろ見てきたつもりだ。そころが、もうあとわずかで学生会員ではいられない。まるで締切直前の原稿執筆作業のようにいろいろなものを見て漁ろうとする気持ちばかりはあるのに、どうしてか今年になってからは全然見れていない。生活習慣が崩壊して延々と寝ていることが原因な気がしてならないが、しかしながら次年度からは年会費5,000円なので、会員を続けるか否かも悩ましい。とりあえず何か見ようと思い、昨年放送されたアニメを探しだす。

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