ケーキより甘い

橘スミレ

ケーキより甘い

※AIイラストを生成した方の解釈は一切入っておりません。

※全て作者の解釈であり、作者の性癖であります。

※グロい表現あります。


   ◇…○…◇…○…◇


 あなたは、いつもの時間に部屋から出て、散歩に行く。時刻はちょうど三時半。付近の小学校の下校時間だ。いつものように、コンビニで買い物をしてからある少女を待つ。その少女はいつも一人で少し離れた家まで帰っている。あなたはいつも彼女の家の側までついて行く。少女の髪は少し紫に近い黒で、薄い紫のランドセルを背負っている。なんとも可愛らしい、そして甘そうだ。


 あなたは昔、パティシエを目指したこともあった。だがその夢も敗れ、今は部屋に引き篭もっている。ちょうど一ヶ月程前、甘い匂いに連れられ窓の外を見れば一人の少女がいた。時間感覚すら崩れ去ったあなたの毎日に甘い香りが加えられた。初めは窓からで充分だった。だが次第に足りなくなり少女を追いかけるようになった。


 そして今日、あなたはついに一線を越えてしまった。少女が自宅の前を通るタイミングで口に布を噛ませ、誘拐する。少女は布から匂う、即効性の睡眠薬で寝かした。少女からはとても甘い匂いがする。髪の毛に顔を埋めて吸い込めば身体中に甘い匂いが広がった。だがこの前では不審者。さっさと自宅へ戻る。


 まず、少女の服を脱がす。そして朝から作ったケーキに少女を埋め込み、隙間をクリームで埋める。少し高さが足りなかったのでシャツの襟を切って着せる。リボンを結ぶととても、可愛らしい。最後に頭飾りのクリームをつければ完成だ。ああ、とても甘い匂いがする。あなたはそう呟き写真をとる。人生で一番の力作だ。


 写真を撮っていると少女が目覚めた。はじめは少しぽわぽわとしていたが自身の異変に気付き、悲鳴をあげる。この前ではまずいので、口にホイップクリームを詰める。なんとか飲み込んだようで、息はできるようだ。ただ今度は泣き出した。もっとも、あなたの目では水飴が流れているようにしか見えなかったようだが。あなたはケーキにフォークを突き刺す。少女の目から恐怖の割合が増していることにあなたは気づかない。ケーキ自体はそこまで甘くしていない。だがとても甘く感じる。おそらく彼女の力だろう。


 あなたは右手に包丁、左手にフォークを持ち、器用に切り分けながらケーキを食べ進める。だがやはり包丁はナイフと違い扱い難い。切るときに、間違えて彼女の皮膚も一緒に切ってしまった。少女から指名があがる。といっても、もう精神も尽き果てているのだろう。声は小さく弱々しい。だからあなたの耳には届かない。あなたは傷口から漂う甘い匂いに夢中だからだ。包丁についた血を舐めた。やはり、甘い。ケーキよりも甘い。そこであなたは思ってしまった。皮膚はどれほど甘いのだろう? 内臓は、骨は、どれほど甘いのだろう? と。あなたの手は止まらない。口も止まらない。部屋ではただ、少女の悲鳴が響くのみだった。


   ◇…○…◇…○…◇


「ーーーー続いてのニュースです。本日〇〇県□□市で男性の死体が発見されました。また、体内から人の骨と思われるものが発見されました。警察は行方不明となっていた△△△△ちゃんのものとみて調査を急いでおります。ーーーー」

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