第22話 打ち合わせ

 アドバイザーに任命された私達は、パーティーの責任者と打ち合わせを行う。


「エンゲイト公爵家でパーティーの準備などを担当しております、デイビッドです。よろしくお願いします、ベリンダお嬢様」

「えぇ。よろしく、デイビッドさん」


 彼は、公爵家に仕える家臣の一人。とても礼儀正しく、しっかりした真面目そうな印象を受ける男性だった。年齢は、四十代ぐらいだろうか。


 貴族のパーティーは、当主か次期当主が取り仕切るのが普通だ。たまに、妻などが取り仕切ることもある。以前の私が、そうだった。しかし、家臣に代表を任せるのは珍しかった。それだけ、エンゲイト公爵家の当主様が彼を信頼しているということ。


「ウォルトン様も、よろしくお願いします」

「よろしく頼むぞ、デイビッド」


 ウォルトン様にも、彼は頭を下げて丁寧に挨拶していた。二人は、とても仲が良さそうな雰囲気。これからの話し合いが、スムーズに進みそうだ。


「早速ですが、こちらが次に予定しているパーティーのスケジュールとプランです。それから、参加者の一覧表などを用意しております。ご確認下さい」

「見せてもらいます」

「確認しよう」


 私達は、デイビッドから資料を受け取る。見てみると、パーティーの日程や会場の大きさなどの情報が詳しく記載されていた。


 あとは、参加する人のリストも記載されている。これは、非常に重要な機密情報。取り扱いには気をつけないといけない。外に漏らしては絶対にダメな内容だった。


 ウォルトン様と一緒に、内容をチェックしていく。改善するべき点が色々と見つかった。まだまだ、手を加える余地がある。そこを直せば、良くなるはずだ。


「ここの部分は、こうした方がよろしいかと思います。今の時代には合っていないので、手法を変えるべきでしょう」

「なるほど、そうですね……。確かに、そちらの方が適切でしょう」

「だけど、ここの部分は今まで通り。伝統を大事にするべきだと思います」

「ふむ……。一理ありますね……」


 私は自分の意見を述べて、デイビッドさんが判断していく。他のスタッフと確認しながら、最終的にどうするのかを決めるのは、責任者であるデイビッドさんの役目。私は、意見を出すことだけに集中すればいい。


「こっちも、もう少し変更が必要だと思ったんだが、どうだろうか?」

「そうですね。それもアリだと思います」


 ウォルトン様も積極的に意見を出していた。私とは違った視点で提案してくれるので、とてもありがたい。


「では、この方向性で進めていきましょう」


 私達が提案した内容が、どんどん採用されていく。これで、準備はスムーズに進むだろう。デイビッドさんが私達の意見を意欲的に取り入れてくれるので、感謝しかない。だからこそ、ミスがないようにじっくり考えてから意見を出さないと。


 そんな感じで、エンゲイト公爵家のパーティーに関する会議は続いた。

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