第17話

「うるさいっ!俺が悪いんじゃない!ひまりが俺と別れてくれないからこうなったんだぁ!」


そう叫ぶと血まみれの妻が近づいて来る。


「来るなっ、お前を殺したのは悪かった、許


してくれっ・・頼む」


幾ら叫んでも、血まみれの妻は両手を伸ばして、俺の首を絞めようとする。


「止めてくれっ!殺さないでくれっ!」俺は


床を這って逃げる。


何かにぶつかって見上げると、妻の顔をしたひまりだった。


俺は思わず「お前が悪いんだぁ!」と叫んで妻の顔をしたひまりの首を絞めた。


その顔がゆがんだ。


「死ねぇっ!、死ねっ!、死ねっ!、・・」夢中で叫んで首を絞めた手を離さなかった。


その顔が死人の顔になる。


大きく口を開けて舌先をだらりとして、白目は飛び出さんばかりで充血し、黒目は俺を睨んでいる。


そして、どさりと妻の顔のひまりが床に崩れ落ちた。


その顔を見ると、殺したはずの血まみれの妻のがそこにあった。


かっと見開いた眼で俺を怨めしそうに睨んでいる。


ドキッとしたが、もう、俺は怖くなかった。


幽霊なんかに負けてたまるか!


振向くと血まみれの妻がもう一人立っていた。


俺を怨めしそうな目でじっと睨みつけている。

俺はサイドボードの上にあったトロフィーを掴んで、血まみれの妻に向かって振り下ろした。


やったと思ったが、空振りして頭を強かにドアにぶつけ倒れた。


手で押さえると血が付いていた。


血まみれの妻はベランダのガラス戸の前に移動していた。


「くそ~!」叫んで思いっきり突っ込んで、


ありったけの力を込めてトロフィーを振り下ろした。

 

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