地雷

「私が持っていきますね」

「うん。ありがと」


 食器をミザリーが持って行ってくれた。

 メイドとかがいたらこんな感じなのかなぁ? ……まぁいいや。今日は何しよっかなー。

 ギルドに行って依頼でも受ける? んー、今はそういう気分じゃないんだよね。

 ミナさんとミュレの所に行く? でもこの前出てきたばっかだしなぁ……適当にぶらついて絡まれてる美少女とか美女とか探そうかな。あー、でも次あのおじいさんが来る時までにお金を貯めておかなきゃだし、やっぱり依頼受けに行こっと。

 よし、そうと決まればレッツゴー。と、その前に。

 私はミザリーの所へ気配を殺して行き、耳元に声をかける。


「ミザリー」

「わひゃん」


 私が声をかけると肩をビクッとさせ、振り向く。

 何、わひゃんって、可愛すぎない? しかも顔が真っ赤で恥ずかしがってるのがまたいい。


「テ、ティアさん! お、驚かせないでください」

「ついね?」

「ついね? じゃありませんよ」

「えー、でも可愛かったよ?」


 そう言うと更に顔を真っ赤にしてしまった。

 褒められ慣れてないんだろうね。友達居ないみたいだし。私しか。頭撫でとこ。保護欲がくすぐられるね。


「そ、それで、何か用があったんじゃないんですか?」

「あ、そうだ。これからちょっと出かけてくるから、ミザリーに行ってらっしゃいって言って欲しいなーって言いに来たんだよ」


 そう、私がミザリーに話しかけたのはこれが目的だ。

 だってさー、さっきも思ったけど、正直依頼とか受ける気分じゃないんだよ。でも、お金を稼がなきゃだし、先延ばしにしたら面倒くさがってずっと先延ばしにしちゃいそうだし。だからこそ美少女の行ってらっしゃいで、テンションを上げるんだよ!


「な、なんで、ですか?」

「ミザリーみたいな美少女に行ってらっしゃい、って言って貰えたらテンションが上がるからだよ」

「そ、それは……わ、私の事が好きってことですか?」

「そりゃ好きだよー?」


 そう言うとミザリーは俯いてしまった。

 友達に好きって言われて、嬉しすぎて泣きそうなんだね。うん、私は気遣いも出来るお姉さんだから、何も触れないよ。


「そ、それじゃあ、い、行ってらっしゃい」

「うん! 行ってくるよー」


 よーし、さっさとお金を稼いでミザリーに貢ぐぞぉぉぉ。

 ……あれ? なんか目標が変わってるような……まぁ、気のせいか。

 

 冗談は置いといて、いやまぁ、ミザリーが可愛すぎて完全に冗談って訳じゃないんだけど、取り敢えず置いといて、さっさとお金を稼ごう。私は最強なんだから直ぐにお金ぐらい溜まるよ。




★    ★    ★




 ギルドに着いた。

 うん、美少女とか美女が絡まれてないかなー、とかは全く考えずにきたよ。嘘じゃないよ? ほんとだよ。

 まぁ、平和なのはいい事だよ。


 昨日と同様入ろうとしたんだけど、私はとんでもない事に気がついてしまった。

 ギルドカード的なの貰ってない。昨日登録してすぐに変な人と戦った……一方的にボコボコにしたから忘れてた! ギルドに来ることにして良かったぁ……外とか行ってたらまたお金取られちゃう所だったよ。


 今度こそ私はギルドに入っていく。


「お、おい、来たぞ……」

「ほんとにあいつがギラル……さんを倒したのかよ?」

「間違いねぇよ。この目で見た……あれ? 間違いないのか?」

「どっちなんだよ!」


 ……やっぱりもっと派手な技の方が良かったかなぁ? まぁいいや。


「あー! ティアさん! 困りますよ、勝手に帰ってもらったら!」

 

 私がそんなことを考えていると、昨日の受付嬢が私に気がついて声をかけてくる。


「そんなことよりギルドカード的なのってないの?」

「そ、それです! 昨日ティアさんはそれを受け取らないで帰ってしまわれたので心配してたんですよ」


 そう言いながらカードを渡される。


 冒険者ランクF

 名前・ティア

 年齢・15歳

 職業・最強


 おー! ほんとに職業最強で作られてるよ。


「それとギルマスからの伝言ですが、一つでも依頼を受けたらDランクに上げることが出来るから早く受けてくれ、だそうですよ」

「そうなんだぁ」

「も、もっと喜ぶところじゃないですか? 一つ依頼を受けるだけでDランクになれるんですから」


 そう言われてもなぁ……私最強だし、当たり前すぎて……ギルマスが昨日の話覚えてたんだぁ、ぐらいにしか思えないんだけど。


「まぁ、私最強だし」

「……早速依頼を受けますか?」


 え? 無視されたんだけど? ま、まぁ、私はメンタルも最強だし? ぜ、全然気にしてないけどね。


「何かいい依頼あるの?」

「Fランクが受けられる依頼は限られてますからね……これなんてどうでしょう」


 そう言って渡されたのは、薬草採取の依頼だった。

 敵……魔物とかの討伐がいいけど、Fランクだし仕方ないのか。

 あ、魔物と言えば、ミュレを助けた時に倒したオークナイトとか売れるのかな? 解体とかしてないけど。ここはゲームの世界じゃないんだし、死体が消えないのは当たり前。だったら、持ってても全然レアじゃないし。なんか騙された気分だ。

 と言うか、解体とか出来る気がしないんだけど。まさかゴミスキルの解体スキルを取らなかったことを後悔することになるとは。


「ティアさん?」

「あ、うん。この依頼を受けるよ。それと、この前倒した魔物を売りたいんだけど、解体とかしてなきゃダメかな?」

「ギルドで解体してもらうことが可能ですよ。その代わり手数料として売れた値段の3割が引かれますが」

「分かった、じゃあ、私が依頼を受けてる間、解体をしてて欲しいんだけど、どこに出せばいいかな?」

「今お持ちなのですか?」


 インベントリ的なスキルはこの世界にはないのかな?


「うん」

「この机に置いてくれれば、後はティアさんが帰ってくるまでに終わらせておきますよ」

「へー、私が帰ってくるまでに終わらせるんだ?」

「? はい。そうですよ」

「もし終わってなかったら?」

「え?」

「終わってなかったらどうするの?」

「えっと……依頼の報酬を3倍にしちゃったり?」

「そう。じゃあ、行ってくるね」

「え、あの、冗談ーー」


 私はオークナイトを机の上に置いた瞬間に縮地を使いギルドを出る。その時に悲鳴が聞こえた気がするけど、知らない。

 一瞬で採取して一瞬で帰ってくる。

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不遇種族で最強を勝ち取った私が異世界へ シャルねる @neru3656

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