休日。電車に乗って浜辺を目指した。

 生まれ故郷は小さな島だった。無性に海が見たくなった。

 海に碌な思い出はない。港から海に落とされた事があった。溺れて死にかけた事もある。友人の死体を出迎えたのも港、海だった。

 島では死体は船でやってくる。本土の病院に運ばれてから島へ帰って来るからだ。


 駅に着き浜辺へと向かう間でコンビニへ寄った。適当におにぎりやパン、それとライターを数本買った。歩きながらそれを食べる。途中の自販機で缶コーヒーを買う。

 浜辺には人が何人かいた。サーフィンでもするのだろうか。それとも釣りか。

 私はズボンのポケットに詰め込んでいた文庫本を取り出して火を付けた。ビニール袋に入れていたゴミとライターも一緒に燃やす。

 ポケットからタバコを取り出して一本吸った。


 ふ~、と一息吐く。それと同時に、パン!!と景気の良い爆発音がした。

 あの宗教団体は、天国へと行くために爆死を選んだらしい。地上に墜ちた天使が天国へと帰るために。爆風に乗って空のその上を目指した、という事だった。

 

 タバコを吸い終えると火は消えかけていた。砂をかけて消火する。

 口に血が入る。ライターの破片で頬を切ったらしい。

 頬を押さえながら浜辺を後にした。潮の匂いは故郷の物とは違った匂いだった。

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拝啓、宮古さんへ あきかん @Gomibako

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