第37話 ひざまくらでパンツが

 落ち込む菜乃を慰めるため、事務所からの帰り道でカラオケボックスに寄り道した。

 菜乃の人気は上昇中だが、周りの配信者が凄すぎて彼女はすっかり自信を失っていた。


 涙を見せた菜乃を、俺は思わず抱きしめた。

 さらに俺が菜乃にひざまくらしてあげ、彼女へ大好きだと伝えた。

 その後、心を込めてキスをしたのだった。


「じゃあ、ご褒美をあげなきゃね!」


 菜乃は俺のひざに頭をのせたままで、口角を上げてニマッと笑った。

 悪い笑顔も魅力的でゾクリとさせられる。


 ゆっくりと身体を起こした菜乃は、俺と並んで座るとマネをしてヒザを2回叩いた。


「今度は私がひざまくらをしてあげる!」

「え、マジ?」


「でも健太と同じだと意外性がないかしら?」

「いや、十分嬉しいけど」


 俺は目線だけ下げて、隣に座る菜乃のひざを見る。

 短めのスカートからは、細く伸びるふとももとひざが見える。

 ひざを揃えて、少し斜めに脚を曲げる姿が美しい。


 ただ座ってる姿がこんなに綺麗だなんて。

 俺はこの脚でひざまくらをしてもらえるのか!

 超絶可愛い菜乃にキスできて、しかもご褒美があるとか天国すぎる!

 これは間違いなく最高の展開だッ!


 喜ぶ俺を尻目に、菜乃はわざとらしく目を細める。


「やっぱり、ひざまくらじゃなくてハグとかにしようかな?」

「うー、ハグもいいけど、ひざまくらの方が……」


「だって、ひざまくら嬉しそうじゃないし」

「嬉しいって!」


「あんまり喜んでないみたいだし……」

「喜んでる、喜んでる! 超喜んでるからっ!!」


 彼女は俺の反応を見て満足そうにすると、あごに人差し指を当てて考えるそぶりをする。


「じゃあ、ちょっとくらい、サ、サービスしてあげよっかなぁ。ご褒美だもんねぇ」

「サービス?」


 俺が聞き返すと菜乃が急に顔を真っ赤にして、視線を下に落とした。

 つられて俺も下を見る。

 ソファに座った菜乃は、自分のスカートをじっと見ていたが……。


 なんと、座ったままスカートを摘まんで、裾を少しずつ上げ始めた!

 普段は見えない、ふとももの上が徐々に露出する。


 うぉぉおおおお!!!!

 菜乃ッ!

 マジかッッ!!

 俺は健全な男子高校生なんだぞ。

 こんなことされたら絶対興奮するだろ!!


 そのままスカートの裾に視線が釘付けになる!

 というか、もうそれ以外に何も目に入らない!

 固唾を飲んでスカートとふとももを見守る。

 ところが、あとちょっと、もう少しというところで、菜乃はスカートの裾を上げるのをやめた。


「ほ、ほら。お、男の人って女子のふとももとか、す、好きなんでしょ?」

「え、えと、うん、好きです」


「と、特別に、これで、ひざまくらしてあげる♡」

「ありがとうございますっ!」


「でも、あっち向きじゃなきゃダメ! こ、こっち向きは、その……中が……見えちゃうから……」


 菜乃はこれ以上ないほど必死な声で注文を付けた。


 そんなに恥ずかしいなら、しなきゃいいのに……。

 い、いやいや、してくれてありがとう!!

 俺のためにしてくれてるんだ!

 俺のためだぞ!!

 もうそれだけで感情が爆発しそうだ!


 俺へ向けられる彼女の気持ち。

 彼女が恥ずかしさに耐えるのは俺を喜ばすため!

 それを考えるだけで、すでに幸福度MAX!

 だがこれから、さらに未知の領域へと挑む!


 いつもはスカートで隠れて見えない、ふともものかなり上までがあらわになっている。

 俺は今からそこに飛び込む。


「ねえ。早くしないとスカート直しちゃうよ?」

「すぐに行きますッ!」


 俺は生唾を飲み込むと、ゆっくり彼女のひざの上へ頭を横向きにのせた。


 ただ、あまりに緊張しすぎて顔の向きを間違えた。

 菜乃がダメと言った「こっち向き」に。

 ひざの上にのせた俺の顔は、菜乃へ向いていた。

 決して、ワザとじゃなかった。

 そして次の瞬間、目に入ってしまったのだ!



 菜乃のふとももの最奥が!

 レースのついたピンクのパンツが!!



「きゃああっっ!!!!」


 菜乃が驚きの声をあげる。

 直後、彼女が慌てて両手を股間に突っ込んだ。

 スカートを限界まで上げてたので、両手の指でパンツを隠している。


 菜乃にひざまくらされる俺は、彼女の白いふとももを頬と耳で直に感じ、彼女の股が至近距離。

 そして、さっき一瞬確認したピンクのパンツの場所が、彼女の両手の指で隠されてるのが見えた。

 指でパンツが隠されて、菜乃のふとともとその奥の指だけが見えるので、なんとなく何も穿いてないのを隠しているように思えた。


 な、な、菜乃の白い内ももが!

 見ちゃったよ。

 一番奥の見ちゃいけないところまで全部!

 レースのついたピンクの可愛いパンツだった。

 あれが菜乃のパンツか!!

 てか、指で隠すのがエロい、エロすぎるんだよ。

 やべ、目が離せない!


 魅惑的な眺めに加え、さらに嗅覚まで刺激される。

 ふと鼻先に、いつもの菜乃の香りとは違った、オスの本能を刺激する甘ったるい匂いを感じた。


「お、お願い、もう許してぇ……」


 彼女の悲鳴にも近い声が聞こえて我にかえった。

 急いで身体を回して、顔を上へ向け直す。

 少し間があって、菜乃から小声で聞かれる。


「……い、今、見た? 私の、見たよね?」

「見ちゃった。ごめん、緊張して向きを間違えた」


 ひざまくらで見上げたまま、見下ろす菜乃を見る。

 彼女は顔を真っ赤にして、口を尖らせている。

 だが、怒っているかと思いきや、目付きが優しい。


「ま、まあ、ご褒美だし……ね。それに一瞬だし。あと健太だし♡ 今回だけは許してあげる♡」


 俺を見降ろす菜乃は、なぜか全然怒ってない。


 彼女に嫌われずにすんでホッとしながら、頭と首に伝わる感触を堪能する。

 菜乃のふとももは、もちもちしてすべすべ。

 細くて綺麗だと思ってた脚は、実は凄く柔らかい。


 ひざまくらから見上げる景色は想像以上だった。

 目の前に迫る彼女の綺麗な顔。

 それに加えて菜乃はスタイルがよく、胸もある。

 胸の山脈から、彼女がのぞいてるように見えた。


「頭の乗せ心地はどう?」

「最高です!」


「うふふ。健太ってば、なんだか可愛いっ!」


 菜乃は俺の頬を優しく触ると、栗色の髪を耳に掛けてからゆっくりと顔を近づける。


 互いの視線を合わせながら唇を重ねた。

 俺は天国のような菜乃のふとももの上で、何回も彼女にキスをされた。


 それからカラオケの時間延長を確認する室内電話がなるまで、ひざまくらを堪能した。

 近距離で互いを見つめ合える、最高に至福な時をすごせた。



 俺たちは至って健全なまま帰路についた。


 というか、あのカラオケボックスで、あれ以上にイチャつくのはとても無理だ。

 部屋の扉がスリガラスになっていて、下に透明な部分があるので、店員に怪しまれたらと思うとおかしなことなどできるはずもない。


「また明日ね、健太! 配信、頑張っていこうね!」

「ああ、今日はお疲れ様!」


 菜乃をマンションの下まで送り届ける。


「今度は瑠理ちゃんと、3人でのコラボ配信だよ?」


 彼女は楽しそうに笑うと、手を振ってからマンションへ入って行った。

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