優しすぎるあなたへ

「お先にどうぞ」は、他人に譲る素敵な行為。


「私はまだ大丈夫ですから、どうぞ」

「私なら自分で出来ますから、ほかの人を手伝ってあげて」

「お急ぎですか、お先にどうぞ」

「私はいいです。何とかなります」


 きっと相手は、なんていい人なのだろう。この人は他人に思いやりのある人なんだ。と思ったことでしょう。


 しかし、それもいつか人は慣れてしまう。


「あの人なら後回しでいいか」


「あの人は助けは要らないようだ」


「あの人なら譲ってくれるから、頼みやすい」


「あの人は、何されても文句を言わないだろう」


「じゃあ、あの人は一番最後にしよう」


 最初は人の良さに感激していた人たちも、しばらく経つと慣れっこになってこう思い始める。

 そうなると厄介だ。本当に緊急事態が起きても後回しにされるかもしれない。

 慌てて、自分の番を主張すれば、「何を今更?」と逆に不満を持たれる始末。




 優しすぎるあなたへ


 あなたは大切な大切な人間の一人だと言うことを忘れないで。

 思いやりは大いに結構! 譲り合いの精神は人類の幸せの基本です。

 だけど、自分を透明人間にしてしまうのはだけいけません!



 あなたは、あなたという人間として生きる権利を他の皆と同じように与えられているのです。

 もし本当に必要な時は、譲るのは少し待ってもいいでしょう。きっと皆、分かってくれます。



 それでも他人に優しくしないと胸が苦しくなるあなたへ。

 時々でいいから、自分を優先させてみましょう。


「お先に失礼します」


「私はこれがしたいです」


「今私にはそれは出来ません」



 こんな簡単な言葉が出てこない優しすぎるあなた。

 あなたは損をしているのではないのです。皆に忘れられてしまってるわけでもないのです。

 ただ皆があなたに甘えてしまうだけ。あなたが大人すぎるだけなのです。



 もっと胸を張りましょう!

 自分に自信を持ちましょう!

 優しすぎるあなたのことは、皆が気づいてくれています。

 あなたの優しさがきっといつかあなたを救う日が来るはずです。



 それでもちょっぴり悲しくなったり寂しくなった時は、こう言いましょう。


「お先に失礼します」


「ありがとう、お願いします」


 そして自分の気持ちを大切にしましょう。あなただって、この世でたった一人、唯一無二の存在なのです。

 誰かが何万人生まれてきても、それはあなたでは無いのです。

 今ここにいる、たった一人の人間があなたなんです! 大切な大切な存在なんです!



 あなたを必要としている人間、そのまず一人目はあなた自身なんです!

 あなたがこの世界にいてくれたから、あなたの優しさに助けられた人が沢山いるのです!




 これは、実は私自身に伝えたい言葉。自分で自分にご褒美をあげたくて、同じ心の持ち主にほんの少し元気をあげたくなりました。



 頑張れ! 優しいあなた。

 頑張る! わたし。



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