ローマの休日

 オードリー・ヘプバーンは大好きな女優さん。若い頃も年老いてからも上品で美しい人。ヘプバーンのローマの休日と言えば、知らない人はいない。


 スペイン階段で食べるアイスクリーム。ローマの街中を走り抜ける2人乗りのスクーター。小さな理容室でショートヘアに。


 新聞記者との身分違いの恋。真実の口にダンスパーティー。最後の記者たちとの謁見えっけん場面は、華麗で、上品で、切ない。


 いにしえのローマの街を堪能出来る映画。ヘプバーンの美しさを何度も確認できる映像。





 私もローマに思いをせる。

 私のローマは、観光地で生活の地。

 学生時代、研修で訪れた初めてのヨーロッパ。後に家族の海外転勤で数年間住むことになったところ。


 ローマはいつだって裏切らない街。

 静寂な荘厳さと、活気ある華やかさの二面性を持つ。

 フォロ・ロマーノ、バチカン市国、コロッセオ、トレビの泉、数え切れないいにしえからの贈り物と現代が共存するところ。


 ブランド店の立ち並ぶコンドッティ通りは、観光客で人、人、人。

 セールになると、50~70パーセントオフなんて当たり前。そこが狙い目。

 ブランド品を安く手に入れたときの喜びは大きい。


 昨日まで数万円付けていたの品を70パーセントオフで手に入れる快感。

 セールの特別品でなく、今まで店に並んでいたものが、今日はセール品になる。ここではそれが当たり前。



 私はバールが大好き。日本で言うところの、立ち飲みカフェ?

 注文してかられるエスプレッソ、カフェマキアート(カフェオレ)、香りが違う。搾りたてのシチリア産ブラッドオレンジジュース(血のように赤く濃い)は粒入りの濃厚さ。パティスリーのケースの中には、美味しそうで甘い香りのパンがたくさん並んでいる。


 カフェマキアートとシナモンブレッドを持って外のテーブルで休日の朝食タイム。


 路上駐車は当たり前。広い道路は、両サイドの縦列駐車で狭くなっている。野良猫たちが、にゃ〜んと猫なで声で朝ごはんのおすそ分けをもらいに来る。




 石造りの築数十年の建物ばかり。

 どっしり構えて、つたさえも自分の装飾にしている。

 真夏でさえクーラーは無い。

 天然のクーラーは工夫次第。

 床から数十センチだけ残して閉めるシャッターと、開け離された北の窓。

 これで完璧。ゆうに数度は涼しくなる。これも石造りのおかげだ。



 シエスタ(昼休み)は2時間、夏のバカンスは2ヶ月間。これも当たり前。

 働く者がちゃんと休める街。

 ゆっくりランチをとって昼寝まで出きる。贅沢だ。


 7月も後半になると一斉に閉まる店。スーパーも服飾店もどこもかこも。慌てても手遅れ。だからセールで急いで買い込む今年の夏の服。



 でも、街の中心のレストランやお店は年中無休の忙しさ。観光客は夏がかきいれ時だから。

 中心街に出て、外食するのもまた夏休みの楽しみ。



 夏の旅行。フィレンツェ、ベネチア、ナポリ、シチリア、トスカーナ。

 リーブナブルに泊まれるホテルが多い。


 特にアドリア海のバカンスは素敵。

 プライベートビーチには、自分たち専用のパラソルとテーブル。宿泊客は専用テーブルを割り当てられるから安心。朝から走ってパラソルの取り合いなんてしなくていい。


 お昼、ホテルに戻ると、用意されたメニュー料理が、決められたテーブルにずらり。各客の専用テーブルのおかげで、ランチは並ばなくていい。


 おなかが満たされ、午後はお昼寝タイム。日差しが強い南イタリアは、お昼は休むのが正解だ。勿体ない精神で休まず遊べばぐったりするだけ。


 夕方、日が優しく傾く頃、またビーチに繰り出す。砂は粗いけど痛くない。腰まで浸かって波を飛び越える。

 パラソル付きテーブルに戻って、ジュースをゴクリ。一日三食お昼寝付き一泊一万円のセレブ気分。一年間のご褒美旅行。私たちは3泊だが、一週間単位の宿泊客ばかり。



 夜は賑やかだ。お祭りのように明るい大通り。お店やレストランが立ち並び、お昼よりも活気がある。

 海外で初めて水着を新調する。

 胸はスカスカだけど、デザインが気に入ったマリンブルー色。日本では着られない。


 頭上には星さえ見えている。都会にはない幻想的な夜景。満月が海面を渡って来そうな月の道。アルテミス(月の女神)になった気分。



 全ての道はローマに通ず。all roads lead to Rome.不思議な言葉に納得出来る時が来る。また訪れたいところ。


 しばし私のローマの休日便にご搭乗くださり、ありがとうございました。






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