第5話 もう一人の客
「♪いらっしゃいまスェー ハロぉズミィルショッパーーずへ、ようこそっようこそっ ♪ ♪デデーン!セールはないけど安心価格!♪いつも いつもありガーとうねー!」
この店はいつも非常にうるさいBGMがかかっている。この街にはまともな音楽家がいない気がする。記憶はないがもっと
三十
店に入って左にある店内方向を向いたカウンターレジでは赤色の作業つなぎ姿でメガネをかけたガリガリの店員があくびをしている。背後にはタバコがワンダースに括られたままで雑に積まれている。
レジ奥の壁に(スモーク一律八ドル!)の看板がかけてある。
不思議なことにこの店が混むことはないのでレジは一人しかいない。他の店員も見かけたことはない、仕入れなどは誰がするのだろうかと思いつつカゴをとって表通りが見える店内
外を見ると
バンボディー(荷台の箱)には
この汚いスーパーは誰に
「うわ なによ、あれ」
レジと反対の
ピエロの顔はお面で赤い髪色だった。着ぐるみはマットな
「あまり見かけない客ね」
カゴを左手に持ち替えて拳銃を抜けるように用意してから飲み物のあるウォークの前に来ると少し先の方でこちらに背を向けてピエロがパントマイムをしている。
身長は高めだがナイフなどは持っていなさそうだ。
「今日の客は私とアイツの二人のようね」
ピエロがパフォーマンスに満足するまでは
「後は奥の酒を取りたいのだけど」
ベロニカは恐る恐る飲み物ウォークのある通路を
「うん、もう少し缶詰を見ているふりをしていようかな」
ピエロは酒の缶でジャグリングをしていた。ピエロのからっている大きなリュックの中から声が聞こえた。
「助けて、誰か助けて、ピエロさん狭いよ…」
(あのクソピエロ、リュックに人を入れてる)
ベロニカは
「フォオオん、おうち帰るぅ」
ピエロは意外にも低い声でおどけている。
丁寧に酒の缶を戻したピエロはリュックを床に下ろして動いているリュックに振り下ろしぎみの
ベロニカはシックスチャンス(ハンドガン)のグリップに手をかけた。
「ぎゃっ」
リュックの中身の動きが止まった。ベロニカはガンホルダーの留め具を外してシックスチャンスを抜いた。
(最悪ね)
面にある三日月型の目でこちらを
ベロニカの青い眼が色彩を変化させて赤く変わった。目の周りには血管が浮き出たクマが薄っすらと浮かんだ。
(ドリンクなしでも良い。集中しろ私!こちらに向かってきたら絶対に頭を撃ち抜く)
ピエロは意外にもあっさりと通り過ぎた、その
「クソ、なんなのよ」
カゴを持ったベロニカの目元の変色は元に戻った。
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