次の組
「いやぁ、素晴らしいレースでした」
「手に汗握りすぎてべちゃべちゃですよ!」
カメラが戻ってきたので内藤さんとレースについて喋りあう。
とてもいいレースだった。これなら残りのレースも期待できるな。
「はい、ということで結果の方を改めてお知らせさせていただきます。内藤さんよろしくお願いします」
「はいはーい。一着1番木島騎手、二着7番宮田騎手、三着12番ローレン騎手です。以下の着番は番号のみ読み上げます。18、9、8、10、11、2、5、17、13、6、3、15、4、16、14。以上の順番での着順です。
着順が付くのは競馬として仕方ないとしても先頭から最後方まで二馬身差の詰まったレースになりました、かなりレベルの高いものだったと思いますが鈴鹿さんはどう見ましたか?」
「そうですね、一番人気だった幸永騎手。浮かれすぎですね」
顔を見合わせて内藤さんと笑う。
「好きな馬に乗ってしまうとあんなに乱れるものなんですね」
「下手に愛情がある馬は避けた方がいいのかもしれません。騎手の方は愛情深い人が多いですから」
「はっはっは、それ以外の感想はいかがでしょう」
「やはり短距離の小倉だったので内が強かったですね。ペースを考えずに走り切れることもあり快速競馬になってしまって大外はかなり不利でした。
それでも四着につけたオーストラリアの閃光はタダものではないですね。それと脚質的に不利だった聖剣が三着なのでローレン選手もお見事です」
「ありがとうございます。それでは次のB組…。え?」
「あ、こちらで協議した結果、B組は五番目に回ってもらいます。理由としては誰もガルフストリームに慣れてなくて、試走を少し重ねないとまともな走りが難しそうということです。
なので順番を繰り上げて次はC組ですね」
「やはり走ったことのない競馬場というのは走りにくいものなのでしょうか?」
「いえ、そうではなくダートだからなんですね。
日本で言うダートは言わば砂なんですが、アメリカの競馬場はポリトラックが増えているとはいえども土と形容すべきダートトラックが多いので日本のジョッキーは走ったことがない人ばかりなんです」
「はー、そうなんですね。しかし、後回しにしても機械がないので練習ができないのでは?」
「裏にもうワンセットあるんで大丈夫ですよ」
「あ、そうなんですね」
「なので、裏で譲り合って少しでも練習する時間を取ってくれればと。そういうわけで急なんですが前倒ししてC組を二レースにお願いしました」
「なるほど、それでは騎手と騎乗馬の紹介をさせていただきます。一度にいきますよぉ!
1番、黄金船! 二十八戦十三勝、香取騎手。
2番、稲妻二世! 十八戦九勝、月野騎手。
3番、世紀末覇王! 二十六戦十四勝、結城騎手。
4番、素晴らしい一日! 三十三戦九勝、川地騎手。
5番、二度目の登場、黄金船! 鈴谷騎手。
6番、黒創世記! 十七戦八勝、樋口騎手。
7番、逃げ切り舞踏! 四十二戦十二勝、家永騎手。
8番、金色の暴君! 二十一戦十二勝、伏見騎手。
9番、黄金船、三度目です! 森中騎手。
10番、夢航路! 三十一戦九勝! 赤羽根騎手。
11番、皇冠! 二十戦七勝、デニーロ騎手。
12番、四度目、黄金船だ! 佐々木騎手。
13番、漆黒の衝撃! 十四戦十二勝、本間騎手。
14番、異次元の逃亡者! 十六戦九勝、椎名騎手。
15番、ご、五度目!? 黄金船! 轟騎手。
16番、祭典大スミレ! 十五戦五勝、安土騎手。
17番、六回目だ! 黄金船! 神田騎手。
18番、グリゼルダレジェン! 十二戦十二勝、浅井騎手。
さぁ、トンデモないことになりましたけども鈴鹿さん!」
「コース的には先行馬が有利なんですけど、追い込み多くないです? レース勝利に補正が入るといっても全頭勝利馬とは思いませんでしたね。
あっ、彫金士と素晴らしい一日がいるので黄金船の気性はコース補正も合わせて恐ろしいことになっています。頑張ってください。
それと勝利数が重なってもコース補正は一回分です、重複しすぎると現実とかけ離れちゃいますからね」
「補足ありがとうございます。実際、百二十億あり得ますか?」
「七百二十億でもおかしくないと思ってますよ。それぐらい難しい馬です」
「なるほど、それではコース説明をお願いします」
「はい、阪神競馬場の内回りコース2200メートルですね。外回り四コーナー出口からのスタートなので最初は下り坂なこともあり早めのラップを刻むことになりますね。なので瞬発力よりも後半に向けた持続力の方が重要です。
先ほども言いましたが先行馬が有利なんですが…。まぁ、結果はお楽しみということで」
「ありがとうございます。注目騎手は誰でしょう」
「浅井騎手、頑張って」
「はっはっは! 確かな圧を感じられます! それではカメラをお返しします、それではまた後で!」
「浅井騎手頑張ってねー」
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