秋といえば。

秋と言えば。

竹ぼうきをカサリカサリと動かして落ち葉を集め終えると、短時間の作業の割にそれなりの量が集まっていた。

その様子にニンマリと笑いながら、持参したマッチを擦って落とす。

パチパチチなりながら徐々に強まっていく火勢に一つ頷くと、今度はレジ袋の中から濡れ新聞紙とアルミホイルにくるまれたサツマイモを取り出した。

やや大き目ではあるものの、一個くらいなら問題無いだろう。そう思いながらたき火のなかに優しく放り込み、すぐ傍に屈みこんだ。

丁度おやつ時だし小腹も空いている。

今回たまたま頂いたサツマイモだが、食事にするには量が少ない。

だったらこうするしか無いだろうと思い立ち、大家さんに頼み込んで庭掃除なんて事を始めた次第である。

食欲の秋、恐るべし。

普段ならこんな面倒なことは絶対にやらないが、欲には抗えない。

完成品を考えただけでよだれが出てしまいそうだ。

甘くてホクホク。調味料何ていらない。木枯らしの吹く中で、身体を小さくしながら、両手で掴んで丸かじりと行こうじゃないか。

しばらく時間がかかるのもご愛敬。

今か今かとワクワクが止まらない時間を過ごすのも楽しくて。

今度は誰か誘おうか、などと。柄にもなく思ってしまった。