第30話悩み深き日々
「どうも最近気力体力ともに元気が出なくて。12月に風邪を引いて以来です」
2023年12月半ばから2024年1月半ばまでしつこい風邪に苦しめられた。熱は出ないのだが咳と鼻水、全身の倦怠感。
国府台病院の発熱外来を受診したが、検査の結果、コロナでもインフルエンザでも溶連菌でもなく。
「まあ恐らく風邪でしょう。いま原因不明の風邪のような症状が流行していますから」
とお医者さんに言われたのだった。
1月後半には症状は治まったのだが、相変わらず疲れやすい、倦怠感に悩まされる。毎晩ちゃんと寝てるのに疲れが取れなかった。
訪問看護のムラオカさんに相談した。
「男性更年期の疑いもありますね。1度主治医のせんせいに相談してみてはどうでしょう」
「姉と大げんかしてしまいました。横溝正史文学賞には落ちるし、裁判では訴えられるし、最近ロクなことがなくて」
「松戸の彼女のサエちゃんとももう半年以上音信不通ですし」
「ウチは毒親毒姉だと思います。もちろん助けてくれる部分も大きいのですが、すごく意地悪な部分もある。特に恋愛に関してはそうです」
「根岸さんは海城から東大法学部合格がマストの家庭だった。なにかお父さんが厳しかったというエピソードはありますか?」
「まあ海城から東大受験に関しては自分で望んだことでもあるので、恨む気持ちはあまりないです。勉強も好きでしたしね」
「母方は以前申し上げた、松井財閥というか、中小企業グループの経営者一族です。ただ、父や姉はその「松井」の利権からわたしを除け者にしています。「お前は自力でやっていける人間なんだから」と」
ムラオカさんが切り出した。
「根岸さんとはあまりこういうやり取りはして来なかったですね。僕の親父は早稲田卒のシステムエンジニアでした。おふくろは高卒で第一勧銀に勤めていました」
「僕は大学に入ってすぐ、18歳でひとり暮らしをしていました。学費なんかは親が払ってくれましたが、ときどき小遣いをもらう程度であとは全部自活していましたよ」
「そういうところがムラオカさんのすごいところですね。生活力がある」
グループホーム管理者のタダさんにも相談した。
「僕、まえに言いましたっけ。30代のとき4年間ぐらい引きこもりだった時期があるんですよ。本当に腐ってて。母親は庇ってくれましたが、父親からは完全に見放されていました」
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