第4話 転生1週間目

「ほら、カイン。お父さんだよ〜」


「ちいちい!」


「おお、カインが反応してくれたぞ! うちの子は天才かもしれないな」


「まあ、貴方ったら、カインは声に反応してるだけよ。まだ産まれて1週間で言葉が解るわけ無いでしょ」


“ごめんよ、お母さん。既に言葉が理解出来ています”


僕は1週間目で既に言葉を完全に理解していた。


まあ、歯がないので喋れはしないが、そのうち話せるだろうってレベルだった。


何故、転生直後は異世界の言葉が理解出来なかったのに、1週間で理解したのかと言うと、【成長強化プログラム】によるミッションクリア報酬だったりする。


この【成長強化プログラム】はまさにチートの名を欲しいままにする位の優秀さだった。


これにより、言語マスター、初級戦闘知識習得、初級魔法知識習得、初級薬草知識習得を覚えた。


これによりまだ身体は動かないから約には立たないが、ダンジョン攻略に最低限必要な技能は手に入った気がする。


ちなみに初級戦闘知識は、基本的な武器の知識や使い方で、初級魔法知識は基本魔法と呼ばれる水を出したり火を出したり、土を変形させたり風を起こす程度の弱いものだが、あるととても便利だろう。


そして、初級薬草知識は、使える薬草や危ない薬草を見分ける基本的知識で、性能を気にしないならばそのまま食べると良い薬草などが生えてれば役に立つだろう。


【成長強化プログラム】は一気に習得出来るのではなく、ある程度成長したら順次解放されるタイプで、どんどんとミッション難易度は上がるらしいが、ゲームみたいで楽しみだなと思った。


ちなみに、この世界【インタセクト】には突如として【神々の遊戯】と呼ばれるダンジョンが湧き上がり、ある一定期間放置するとモンスターを吐き出したり、近くにいる人間や動物をダンジョン内に強制転移させてしまう恐ろしい機能があり、ダンジョン近くには騎士団員や冒険者などの戦闘系【祝福】を持った者しか住めない土地に変えてしまうらしい。


しかし、ダンジョン内には生活を豊かにしてくれるアーティファクトや鉱石、モンスター素材などがたくさんとれるので、戦闘系【祝福】持ちは一獲千金を狙ってチャレンジするらしい。


そして、ダンジョンはずっとある訳ではなく、不定期ではあるがモンスターを吐き出したら消えてしまうタイプもあるらしい。


『カイン様、近くに現れたダンジョンはF級みたいですが、町の住人では対処は難しく、街に騎士団を要請したみたいですが、来てくれるかは不明らしいです』


『なるほど……』


僕がダンジョンに対しての知識があるのは、僕が産まれた町、ガガリから1キロ位離れた場所にF級ダンジョンが出来た事で、戦闘系【祝福】持ちのお父さんや近くに住む知り合いが吐き出されたモンスター狩りに駆り出されていて、両親が毎日の様に町を捨てて引っ越すかを話し合っていたからだ。


『今のところはダンジョンに強制転移させられた住人はいないみたいで、ガガリが強制転移の範囲内なのかは専門知識のある者が町に居ない為、分からないみたいです』


『サリは分からない?』


『すいません、私にはそういう知識は無いので解りません』


『そっか。なら初ダンジョン攻略はそこにしようか』


『分かりました。F級ダンジョンですから、私でも対処可能な筈です。ダンジョン突入タイミングはどうしますか?』


『う〜ん、そこが迷いどころなんだよね。突然赤ん坊が消えたらヤバイでしょ……F級ダンジョンって攻略にどれ位の時間がかかるのかな?』


『それもダンジョン次第といったところだと思います。私なら倒せるレベルのモンスターしかいないだろうといった事以外はわかりません。予測ではありますが、低級ダンジョンの方がダンジョン自体も広くはないと思います。ですから……』




【ダンジョンの強制転移が開始されます】


気がついたら僕は薄暗い洞窟の様なダンジョン内に強制転移させられていた……。

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