第2話 転生

はっ!?


僕は気が付いたら汚い小屋で寝かされていた。


ここは何処だ?


視界も定まらないし、身体も上手く動かない……。


何がどうなってるんだ……あっ!


あの自称神から異世界に転生して、ダンジョン攻略して欲しいっ頼まれたのを思い出す。


って事はココが転生先なのか……。


それにしたってボロ小屋過ぎないか?


それにしても本当に異世界なのかな?


自身の手などを見たら僕が赤ちゃんに転生してしまったのは分かるけど、ココが異世界だと確認する方法は今のところ無さそうだけど……。


周りをチラチラ見ても、ただのボロ小屋にしか見えない。


こんな事なら転生先もお金持ちとか、指定すれば良かったな。


『ちょっと聞こえるかしら?』


『えっ!?』


突然、女性の声が聞こえてきてびっくりする。


『あ、良かった。無事に話せるみたいね』


『あの、誰ですか?』


女性の声は美しく、ずっと聞いていたい魅力はあるのだが、それ以上に誰だという疑問でいっぱいだった。


僕の目の前には、相変わらず誰も居ないのに、声だけがハッキリと聞こえてくるのだ。


『私は女神アテナよ。それよりも、本当にごめんなさい!』


『何がごめんなさい、なんですか?』


女神アテナと名乗る人は突然謝罪してきたけど、何か悪いことでもしたのだろうか?


いや、どちらかというと、女神アテナがというよりは、予期せぬ出来事があった感じがするな。


『貴方が転生する前に出会った神が居たでしょ?』


『はい。やっぱり神様だったんですか……』


『正確には神では無いのだけど、神の権能を持ってしまった生命体と言ったところかしら』


『微妙な表現ですね……それよりも、もらった祝福が変なものだった気がするんですが……あっ、それで謝罪ですか?』


あのジジイがくれた祝福はやっぱり、タイムアップ、リタイア、バットエンドという不吉なやつだったのか?


『ええ、あの生命体は言語能力処理障害があってね』


『それなら祝福を直してくれませんか? 僕が頼んだのは死なない身体……』


『ごめんなさい、与えた祝福は消せないの……祝福は魂に刻まれてるから、無理やり消すと魂にも多大な損傷が起きてしまうのよ』


『そ、そんな……』


マジかよ。


『あ、でも、祝福に関してはそこまで悪くないわ。それよりも問題なのはダンジョン攻略の方なのよ』


『ダンジョン攻略の方?』


ダンジョン攻略はクラス分けしてるんだろうから、無理せずに低クラスから攻略していけば問題ないのではないのか?


それに祝福に関しては悪くないって、どういう意味だ?


サッパリ分からないぞ。


『ええ、ダンジョン攻略は本来なら異世界転移者に頼むもので、異世界転生者に頼むものじゃないのよ』


『ん? 転移者と転生者でなにが違うんですか?』


転移者は元の世界にいた身体のまま転移して……転生者は死んで新たな身体で異世界に……


『本来のダンジョン攻略依頼は、異世界がダンジョンにより世界崩壊危機の場合にのみ頼むのだけど、たまに異世界に行ったけど、全くダンジョン攻略する気がない転移者対策として、ある一定期間ダンジョン攻略しない場合は強制的にダンジョンへ転移させる機能も付いてるのよ』


『ダンジョンへ強制転移……って、赤ん坊状態でも?』


『……そうなの』


『いやいや、動く事すら出来ない僕が強制的にダンジョンへ放り込まれたら確実に死ぬでしょ?』


あのジジイは馬鹿なの?


あ、だから言語能力がおかしいのか……。


それにしたってめちゃくちゃだな。


『まあ、貴方はダンジョン内では死なないのだけど、それでもダンジョン攻略は難しいだろうから、女神アテナの名に賭けて貴方には追加のサポートをして、15歳までは確実にダンジョン攻略させてみせます』


『ありがとうございます? それで追加サポートとは?』


『まずは、貴方にはサポートユニットを送ります。最低ランクのダンジョンならばサポートユニットだけでも攻略可能な力があります。それと追加の能力を授けます』


『それは凄い……あれ? 急に目が……』


『そろそろ限界みたいね。詳しくはサポートユニットに聞いてね。本当にごめんなさい。貴方が無事に異世界ライフを満喫出来る事を願っているわ……』


そこで僕は意識を失った。






『ふう、これであの子への説明は終わったわね……後は追加能力とサポートユニットを送って……それとあの廃棄予定だったやつを勝手に放った奴らを探さないと……よりにもよって【インタセクト】の神々に目をつけられるなんて災難よね……』


私はあの子のサポートをする為に動き出す。

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