第45話 根源へ辿る道2

 その穴の中には部屋があった。

 部屋の壁が青白く発行しており、ランタンなしでも周囲を確認できた。

 そこには本棚が置かれているだけで、寂しく感じる部屋だ。


「壁自体が発光しているのか……」


 ブラウズの言葉を聞いて、シェルも周囲の壁を興味深く観察しているようだった。


「本当に何も無い部屋だな」

「そんな事はないの。あの本棚を押して退けて欲しいの」


 マリアの指示を受けてブラウズは本棚を押すと、地下へ続く階段があった。


「なるほどな。ここから地下へ行くのか」

「お父様、何だか……進んでもいいのでしょうか」


 不安そうなシェルを見てブラウズが心配そうな顔をする。


「何か様子がおかしいのか?」

「分かりません。何て伝えたらいいのか」


 ブラウズとシェルのやり取りを見て、マリアは説明をする。


「ここからは、地下へ進むけど少し時間がかかるの。無理そうなら戻ったほうがいいわ」


 マリアがそう伝えると、シェルは否定する。


「いえ、行きます。私も戦えるのはドラゴンとの戦いで証明済みなのです。そのために来たのですから」


 そんなシェルを見てブラウズが少し苦笑する。


「シェルには残ってもらいたいところなんだがな。アッシュもいる事だし、いざとなれば俺が守る」


 君はブラウズに頷いて答えた。

 マリアを見ると、本棚をコンコン叩くと階段の前に立った。


「階段を降りるの。話は付いたみたいだから、行きましょう」

「ああ、悪いな。早く行こう。魔物が増える前に倒すぞ」


 マリアが頷くのを見て、シェルと君も頷く

 コツコツと階段を降りる音がすると、マリアの後に続く。

 この先に何があるのか、君は周囲を警戒しながら階段を降りて行った。

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