第5話 俺は、美少女のおっぱいのことしか考えられない⁉
「遅いですからね、お兄さん」
「でも、ぎりぎりってことで、許してあげますけどね、浩紀君」
ツインテールな妹――
黒髪ロングな幼馴染――
その二人の美少女とは、学校近くの街中で待ち合わせの約束をしていたのである。
三分ほど、遅れてはしまったものの、幼馴染からは許された。
「お兄さん、今日は目いっぱいに付き合ってもらいますから」
「私、ちょっと寄りたいところがあるの。いいかな?」
二人の美少女からの誘い。
その上、街中で双方の腕に抱き付かれることになったのだ。
人前でのイチャイチャ具合を、こんなに人がいる街中で堂々と見せるとか、ありえないだろ。
浩紀は内心、非常に焦っているのだ。
双方から伝わってくるおっぱいの柔らかさに動揺を隠せない。
浩紀は左右にいる彼女らを見やった。
左にいる友奈と、右にいる夢。
二人の美少女は、絶対に我が物にする的な視線を向けてきているのだ。
学校一の美少女。夏芽雫先輩から、水着姿で言い寄られたこともあり、二人の彼女も、いつも以上に積極的である。
結果として、女の子二人を侍らせた状態で、街中を歩く羽目になった。
が、辺りから向けられる敵意に近い眼差し。
このアウエーな環境下で、最後まで付き合いきれるのか、浩紀自身がヒヤヒヤしていたのだ。
「浩紀君。私、一緒に入りたいお店があるの」
「一緒に入りたいお店?」
「うん、ダメかな?」
夢はいつにもなく積極的でかつ、上目遣いで見つめてくるのだ。
好きな彼女からの誘いを断りたくはなかった。
けど、左腕を抱きしめている妹から、嫉妬染みた視線を感じるのである。
左を確認しようとするも、怖くて振り向けなかった。
「お兄さん、さっきから、夢姉さんの方ばっかりですよね?」
「いや、ちょっと話してて」
「でも、私も、お兄さんと会話したいですから」
「友奈とは、いつも家で会話しているような……」
双方から向けられる眼差しを一心に受け、視線を合わせないようにして、浩紀は妹と会話していた。
が、今度は右側の方へ引っ張られた。
「私、友奈ちゃんのように一緒に過ごしているわけじゃないから。今日は、浩紀君と、もっと会話したいの」
と、彼女は誘惑するかのように、綺麗な眼差しで問いかけてくる。
そんな彼女の想いを無下になんてできない。
好きな人が今こうして、積極的に話しかけてきているのだ。
下手に距離を置くと、嫌っているのだと誤解されそうで、うまいこと、その距離感には気を付けなければいけないだろう。
「お兄さん、やっぱり、おっぱいなんですか? おっぱいが大きい方が好きとか?」
「え? いや、違うから。俺は平等に会話しているだけであって」
「本当に?」
「あ、ああ」
左側にいる友奈からは、思いっきり、ジト目を向けられている。
そんな状況でも、右から伝わってくる弾力性のあるおっぱいに、声が少々裏返りそうになっていた。
二人の美少女と、ハーレムな感じに街中を歩いている。
その上、右からは、おっぱいを押し付けられ、左からは嫉妬心を剝き出しにされているのだ。
街中を歩いているだけで、浩紀の方をまじまじと見ている男性らから、羨ましいと思われてしまいそうだが、現実は全然違う。
直接、体感しないと、この辛さは理解できない。
浩紀は二人に挟まれている間、そんなことばかり考えていたのである。
夢が訪れたかったお店というのは、意外と定番な場所。
いわゆる、ハンバーガーショップである。
その店内に、三人で入店するのだ。
店内を見渡せば、学校帰りの人も居て、結構混んでいる印象。
浩紀は緊張してくる。
周りにいる人らに見られているというのもあり、心臓の鼓動が高まってきていた。
それと、双方からのおっぱいである。
おっぱいに圧倒されている今、浩紀は冷静さを保つことにだけ、必死さを全振りしている感じだ。
「お兄さん、ハンバーガーを頼みに行きましょう」
「浩紀君は、何がいい? 昔は、照り焼きとか好きだったよね?」
美少女の匂いが漂ってくる。
近距離で女の子の体の匂いを嗅ぐことができるなんて、そうそうできることじゃない。
それ以前に、周りの人らからまじまじと見られる始末。
二人の女の子に腕を抱きしめられながら、一緒に入店すること自体が現実離れしているのだ。
夏芽先輩から言い寄られてから、二人の様子が一段と違う。
浩紀は緊張した面持ちで、受付カウンターへと向かった。
そこで、一先ず注文することになるのだが、店員の女性スタッフから不思議なものを見るような視線を向けられてしまうのだ。
非常に気まずいんだが……。
「浩紀君。私は、ビッグサイズのハンバーガーがいいかな」
夢はメニュー表の写真を指差しながら言う。
そのたびに、彼女の豊満な胸が右腕に強く押し当たるのである。
夢は華奢な容姿によらず、大食いなところがあるのだ。
体のラインなど、スタイルが良く、程よく痩せてはいるが、胸の辺りが非常に出ている。
おっぱいの主張は激しいものだった。
その上、ビッグサイズなハンバーガーを選んだところを見ると、なぜか、浩紀は夢のおっぱいばかりが気になってしょうがなかったのである。
「私は、フィッシュバーガーがいいなぁ」
左側にいる妹の友奈。
彼女の自己主張も激しいものだ。
夢に比べると、あの部分は小さいものの、腕に程よく柔らかさが伝わってくる。
色々と発達しているのだと痛感するのだが、やはり、妹に対して、エロい感情を抱いてはいけないと思う。
だ、ダメだ……。
おっぱい――
じゃなくて、今は。
「お兄さん? どうしたんですか?」
「碧音君? 早く決めた方がいいですよ?」
「んッ……はッ、ご、ごめん。色々、俺の中であってさ」
双方から声をかけられ、碧音は現状に気づき、受付カウンターのテーブルに置かれている、メニュー表へと視線を移す。
「お、俺は……その、おッ、んッ、いや、ち、チーズハンバーガーで」
浩紀の脳内は、美少女らのおっぱいで、まさに汚染されている最中。
今日はおっぱいと触れ合う機会が多すぎて、おっぱいという言葉だけで、浩紀の脳内は侵されてた。
「お兄さん、なんか、違うことを言いかけた気がするけど、何かな?」
友奈は何かを察したかのように、まじまじと反応を伺っているのだ。
「言いたいことがあったら言った方がいいよ。浩紀君」
夢はなんのことかわかっていないようだが、それもそれで非常に厳しい環境だ。
「な、なんでもないんだ。そ、それと、さっきのハンバーガーすべてをセットでお願いします」
「は、はい……では、こちらのメニュー表から、セット商品をお選びください……」
女性スタッフは、浩紀のあまりにも勢いのある態度に、少々引き気味である。
結果として、三人はセット商品を注文することになったのだが、席に向かう途中、周囲から向けられる男性らからの嫉妬心の眼差しは途轍もないものだった。
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