半分人間のデミヒューマン
騎士団長は自らの所持する聖剣を振り上げる。
彼の肉体から溢れ出るエネルギーを吸い取って炎へと変換させる聖剣の力によって噴き溢れる業火がオールドに向けて飛んでいく。
「ちィ!」
オールドはその攻撃に対して回避行動をとると共に遠くへとノスフェラトゥを抱きながら移動して安全な場所へと向かう。
「ここにいてくれ、すぐに終わらせる…」
「ん、あ」
オールドはノスフェラトゥにそう言うと共に自らの血液を変貌させる。
彼女の家と戦禍のウォーの血によって複合された体液はもはやオールドにとっての武器となっていた。
オールドの意思ひとつで様々な形状へと変化することができる液体金属のような血液をオールドは自らの思考で操作する。
手のひらの傷口から血液を噴出させてオールドの体を大きく超えるほどの楯を作り出すとそれを構えて炎を遮らせる。
そしてそのままオールドは騎士団長に向けて突進した。
騎士団長は炎によってオールドがどのような行動をしているのか見えなかった様子だ。
途端として炎が遮られていると知った瞬間には既にオールドの都心によって騎士団長は肉体をオールドの縦によって衝突して後ろへと後退する。
「小癪な真似をッ!」
騎士団長はそう言ってオールドを睨みつけ落とした時。
オールドは手のひらから出てきた盾を変形させて巨大なものへと変えた。
それを振り上げて騎士団長に向けてたたきつけようとしていた。
巨大な斧。
その刃の先端が騎士団長に向けられている。
恐れを感じた騎士団長はとっさに聖剣を振ってオールドの攻撃を遮るように炎を噴出させた。
「くっ」
苦し紛れの行動ではあるがオールドにとっては有効な攻撃だった。
オールドは焔に驚いて一瞬行動を鈍らせる。
オールドの身体に接触はしなかったものの騎士団長は立ち上がりすぐさま体制を整えた。
「悪魔めが私の聖剣に恐れをなすがいい!」
そう呟くとともに騎士団長は聖剣から炎を噴出させるとその炎が空中へと止まった。
四つに分かれて炎の玉が出来上がるとその炎の玉は形を変えて4本の矢となった。
聖剣の切先をオールドに向けて騎士団長は叫ぶ。
「炎よ我が力と化して悪魔を討ち滅ぼす一撃と齎せ!」
そのように詠唱のような言葉を発するとその炎の弓矢がオールドに向けて放たれる。
オールドは斧を振り上げてその弓矢を払うことにした。
弓矢の速度が速すぎた為に、手のひらから流れ出す血液を形状を変えても間に合わないと判断したためだ。
一本の矢、二本目の矢は何なく払うことができた。
しかし遅れてやってきた3本目と4本目はオールドが斧を振り下ろしてしまった為にタイミングがずれてそのままオールドの体に炎の弓矢が突き刺さる。
「うぐっぇ!」
悲鳴をあげるオールド。
その悲痛な叫びを聞いて騎士団長は楽しそうに笑っていた。
「悪魔め、見たか!これが神の御業である!」
そう言って騎士団長は生検を自らの授業に向けて空を裂くような恰好をすると聖剣の剣先から巨大な炎が渦巻いた。
「炎よ、嵐となって我が敵である悪魔を飲み干し、その血肉と涙と諸悪の業を焼き祓いたまえぇえ!」
再びそのような詠唱をするとともに炎の渦がオールドに向けて放たれる。
オールドは即座に察した。
その炎に飲み込まれてしまえば後はその炎から逃れるすべなどないと。
オールドの方へと接近してくる炎の嵐。
それをどうするかオールドは考えるよりも早く体が動き出した。
炎の渦に向けてオールドは走り出したのだ。
そうすると騎士団長はオールドの行動が自殺行為であると思い高らかに笑った。
「悪魔が死を選ぶか!」
騎士団長の言葉にしかしオールドはハナから死ぬつもりはなかった。
「死ぬか、俺がこの程度でぇ!」
そう叫ぶとともにオールドは地面に向けて拳を叩きつける。
するとこぶしの皮が破れて血が噴き出す。
戦禍のウォーの血とノスフェラトゥの血が混ざった悪魔の血液。
その血液に自らの脳内で命令を与える。
自分の背丈よりも炎の渦よりも高い金属の棒を拳から放つとオールドの体は金属の棒におされて天高く跳躍する。
そしてそのまま、炎の渦を乗り越えると共に、騎士団長の方へと飛翔していく。
即座に騎士団長はオールドが炎の渦を跳躍によって飛び越えたのだと理解してデタラメだと思いながらも聖剣を構える。
自らのエネルギーを聖剣に与えて炎へと力を変えようとした。
しかしそれよりも早くオールドの体から放出された金属の棒が騎士団長の体に向けてふるわれる。
細くて長い金属の棒はリーチが長いために騎士団長の防御態勢よりも早くその体に打撃を与えることができた。
体を思いっきり叩かれる騎士団長。
かろうじて頭部を打ちつけることは回避できたがその代わり騎士団長の体に金属の棒が当たって肩の骨が粉々に砕ける音が響いた。
しかしその音をかき消すほどに大きな悲鳴が空へと響く。
「があああああっあひぎがあああ!!」
そのようにわめき、自らの聖剣を手放して体を左右に動かして地面を転がる騎士団長の姿。
オールドは金属製の棒を血液へと変換して自らの体内に収めていくとそのまま歩き出して騎士団長の聖剣に目を向ける。
「わ、私の聖剣を使うつもりかぁ!?」
涙目になりながらも騎士団長はそういった。
その言葉でオールドの前は騎士団長から聖剣へと向けられる。
騎士団長はオールドのその視線を決して見逃すことはなかった。
「(私に指摘されて貴様はその聖剣に注目した、そしてそれを手に取ることも予測している。だが手に取った時点で貴様は思いもよらない衝撃に体を蝕まれるだろう、その聖剣は神なる剣、悪魔を否定する剣、悪魔が触れればその聖なる力に体を焼かれてしまう、そして病のように聖なる力が体を蝕んでいくのだ。悪魔である貴様には耐え難い痛みだろう)」
騎士団長はそう思った。
予想する通りにオールドは聖剣に目を向けていてゆっくりとその黄金の柄に手を伸ばす。
さっさと触れてしまえと、そう思う騎士団長。
その意思を実現させるかのようにオールドが聖剣を握った。
騎士団長はこれでオールドは弱体化するとそう確信したのだが。
オールドは全然、悪魔であるはずなのに聖剣に対して痛みなど受けていない。
いやそもそも効いている様子ではなかった。
「な…はっ?」
騎士団長は既にオールドを悪魔として認識しているがそれは違う、
オールドは悪魔の血を流し込んでいるがその肉体は人間に近しい。
それはノスフェラトゥが食事をする時にすぐそばにいるオールドの血が人間でなければ飲めなかったからだ。
悪魔はあまり同種族である悪魔の血を吸うことはない。
それは単純に同族殺しによるタブーがあるからというわけではなくその悪魔の舌先がまずいと感じてしまうからだ。
だからノスフェラトゥはオールドを完全に悪魔にする気はなかった。
半分だけでもオールドの体に人間の血が流れているのであればそれは十分食料として通用する味であったのだ。
だからオールドは人間としての側面を持っているためにその聖剣を握っても体に身を焦がすほどの痛みを発することはなかった。
それでも、なんだか体がだるく感じてしまうのは悪魔としての部分が聖剣を拒否しているからだろう。
しかしオールドにとっては十分に動ける程度の疲弊感だった。
聖剣を握りしめてじっと見つめているオールド。
「な、なぜ貴様が…ッ悪魔のくせに!人間の神の力を手で握っても何の反応も示さないのだ…おかしい、これは絶対に!!」
騎士団長の疑問に対してオールドは聖剣を振り上げた。
「お前の疑問なんてどうでもいい…ただ、さっさと死ね」
無情にもオールドが吐き捨てるように言うと共に政権が騎士団長の胸を奥深く貫くのだった。
最弱吸血ロリ巨乳美少女ヒロインに依存されてぇえええええええええええええ!!! 三流木青二斎無一門 @itisyou
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