エピローグ
電車を使って一日中鬼ごっこ終了後
「みんな、お疲れ様〜」
時空の広場では“とある男”がニコニコしながら3人を待っていた。
「疲れましたよ〜」
誇り顔で話した孝之だが、その隣で俊樹は気怠げな表情で突っ立っている。「あーーー! あれは勝ち確やったのに〜!」
「いや、負けてるから」
間を与えることもなく充がドストレートに言う。
「ガチで警察出してくるのはズルい!」
「ルールの範囲内でやっただけで、別にズルくもなんもないわ」
孝之はフンっと鼻を鳴らした。「まぁ、だから、お前が見事にフラグを回収しただけのことやって」
「やめて。俺、それで今、萎えてんねん」
「まぁ、惜しかったからね」
ゲームマスターも悪ノリ。完全に四面楚歌状態である。
「楽しかった」充が微笑む。2人もそれに首を縦に振った。「今日1日だけで、色んな路線に乗ることができたし、なにより、ハラハラドキドキ感が堪らへんかった」
「そう言ってもらえて良かった!」
“とある男”は鞄の中をゴソゴソ漁る。そして、
「はい! 全員、参加賞ということで、景品です!」
3人は揃って目を丸くした。“とある男”が見せてきたのは……。
「WEST EXPRESSS 銀河」ツアーの乗車券! しかも、グリーン個室である。
「WEST EXPRESSS 銀河のグリーン個室⁉︎ これ、ガチのやつですか?」
充が口元に手を
そりゃあもちろん、“とある男”は3人全員の反応を楽しんだ。「チケット取るのに苦労したよ〜。一枚がなんとか、繰り上げ当選してさ」
京都から山陰地方の出雲市までのルートとなっている。
「出雲市といえば、なにより、縁結びで有名な出雲大社やろ。それから、出雲そばも有名やな」
俊樹が言った。
「3人で楽しんできてください! 今日は……解散!!」
※
1週間後。
「おっ! 見て見て! もう入線してる!」
3人の姿は京都駅の33番線ホームにあった。俊樹が指差した先には、紺色の車体がたくさんのフラッシュライトに照らされて輝いている。「やっぱ、カッコいいな〜」
6号車の前に来た。
扉がゆっくりと開く。
「よし、乗ろう!」
3人の新たな旅が、始まる。
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