第19話 ペロル、商会をつくる

「其方はどのようにして商会を立ち上げるつもりなのだ?」


「まずは個人で冒険者ギルドの手紙配達の仕事を請け負うことにしようかと考えております」


「お金は既にあるのではなかったのか?」


「私の全財産など領主様に渡っているであろう地図の代金程度の金額しか持ち合わせていませんよ。それに人脈もありませんし・・・」


「はぁ。商会の建物だけは準備してやろう。ただし、税金などの金銭はきちんと納めるように。他に欲しい物はあるのか?」


「馬と兵を所有する権利が欲しいです」


「本来なら却下だが理由を聞こう」


「馬はいち早く荷物を届けるために、兵はその護衛のためですね」


「馬は許可しよう。ただし兵は私に届けを出して給金や装備は私から提供する。その人材を君に貸し出す形であれば許可しよう」


「それで十分でございます」


「それでは早速で悪いが仕事を頼みたい。明日の朝までに書類をまとめておくので南の街スティーリアの領主代行のところまで届けて欲しい。その間に商会の建物を準備しておこう」


「分かりました。あと忘れていたのですが、それぞれの中間地点に馬を交換するための場所を作りたいのですがよろしいですか?まだお金も馬もいないため先のこととなると思いますが」


「それはその時が来たら考えよう。今は未来の話しより足元を固める時だ。それでは、ペロルよ。明日の朝、館まで来てくれ。その時に私が後ろについているという通行証を渡そう。これを使えば其方の身分は保証され、スティーリアでも問題なく領主代行に出会うことができるであろう」


「かしこまりました」


そうしてペロルは領主様との話しは終わった。騎士団長はその場に残ったため、ペロルは一人で館を後にした。そのままペロルは行きつけの宿へ向かう。またもやお土産を買ってきていないことに頬を膨らませる妹ちゃんをからかいながら、夕食を食べ平穏な時間を過ごした。


そして次の日、館へと向かうとストレージに入る量の書類がまとめられていた。通行証もばっちり頂いた。


ペロルはすぐに出発した。南の街スティーリアに向かうには村を三つ超えていかなければならない。ペロルの足ならばどの村へも一日で到達できるため三日後にはスティーリアに到着できるだろう。


ペロルはマップを確認しながら南に進む、途中、急に赤い点が表示されたかと思えば道草をホーンラビットが食べていたり、ゴブリンが出てきたりしていた。


ペロルはマップに表示される赤のマークは魔物だと判断し、注意して先に進む。その日の夕方に目的の村へとたどり着いた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る