第17話 ペロル、騎士団長と出会う

「お話し中のようですね。出直してきます。失礼しました」


ペロルは後ろを向き、部屋を出ようとしたところで。


「ちょっと待ってくれ。君を呼んだのは彼に会ってもらいたかったからなのだ」


それを聞き、正面に向き直るペロル。どうしようかと悩んでいるところで立派な鎧を着たイケメンが話しかけてきた。


「私の名前はマクスウェル。この街で騎士団長をしている者だ。君がペロル君だね。地図の件とても助かったよ。今後ともよろしく頼む」


なんだか一気に情報がなだれ込んできて訳が分からなくペロル。まずは挨拶をすることにする。


「私がペロルだ。よろしく頼む」


ごめん。やっぱり混乱していた。


この場は兵士長が納めてくれて会話は続く。


「私は君を領主様に会わせることを頼まれてここに来た。まさか一日目で都合よく来てくれるとは思わなかったけれどね」


「ちょうどよく東村から帰ってきたときに門兵から伝言を聞いたものですから。まだ日中でしたので立ち寄らせていただきました」


「それで、領主様と会ってくれるかい?」


「拒否権があるのですか?」


「ないよ」


まあこの展開は予測できたとして、目的が分からない。考えても仕方がないので直接聞くことにした。


「領主様と私を会わせる目的は何ですか?」


「それは私も聞いていないよ。まあ士官しないかを確認されるとは思うけれど」


ここまで聞いて、目的を聞いても断れないなら仕方がないことに気づいた。


「分かりました。ご一緒させていただきます」


その時に兵長が口を挟んだ。


「待ってくれ。ペロル君には地図の代金を払わなければならない。これだ。受け取ってくれ」


代金は金貨十五枚だった。ペロルは金銭感覚が狂いそうになるが、まだ大丈夫だ。たぶん。


ペロルは落としたり、盗まれたりしないようにその場でストレージにしまいこんだ。


「!!」


騎士団長と兵長の二人が同時に驚いた。ストレージは貴重なスキルで持っていれば商業が必ず成功すると言われるスキルだ。それを目の前で見せられて驚かないはずがない。が念のため二人はペロルに確認をとる。


「今、金貨が消えたのはどうしてかな?」


「それは、ストレージというスキルにしまい込みました。落としたり、スリに合ったら私は一文無しになってしまいますから」


ペロルは正直に話してしまった。オートマッピングのスキルのみで有用と判断されているにも関わらず、さらに貴重なスキルを見せつけてしまった。


「ちなみにストレージの収納量は?」


「一メートル四方ですね。財布としては少し大きいですよね」


ペロルはとことん空気が読めていなかった。

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