第12話 ペロル、治療院へ向かう

デュロットの街にたどり着いたペロルは門の非常用通用口を叩く。すると、昨日地図を渡した門兵が出てきた。


「よう。すまんがそんなに早く金は準備できてねーぞ。ってそれよりお前村に行ったはずだろ。なんで今ここにいるんだ?」


「すまんが早く通してくれないか。病人だ。あと治療院の場所を教えてくれ」


そう答え、背負った子どもを見せると男の顔つきが変わった。


「こっちだ。ついてこい」


ペロルはそう言われ、ついていく。場所さえ教えてくれればいいと考えたが、治療院の人間を説得するのに時間がかかっても困ると思い直した。十分ほど走ると大きな建物が現れ門兵の男はその中へ入っていった。ペロルも後に続く。


「おっさん。病人だ。結構衰弱している。早く治療してやってくれ」


門兵の男が叫ぶと、二階から白衣を着たおじさんが走ってやってきた。ペロルの背負っている子どもの様子を簡単に見ると布をほどき、部屋へ連れて行ってしまった。ペロルはついていこうとしたが、おじさんに止められて立ち止まる。


それから一時間程経った時、おじさんが部屋から出てきた。


「風邪をこじらせただけだな。だがひどい状態だった。あと一日処置が遅かったら死んでいたぞ」


ペロルは経緯を説明した。そこでオークの群れが通路にいたことを思い出し、門兵の男に伝えた。すると、男はその場から急いで出ていった。


ペロルはとりあえずオークのことは彼に任せることにして治療院のおじさん、もとい、先生に治療費を尋ねる。


「銀貨五枚で構わん。話を聞くにすぐに村に戻ることもできんだろう。それに君も限界が近いのではないかね。ここは病人が休むところだから止めてやることはできんが子どもは責任をもって面倒を見よう」


先生の言葉通りペロルは眠気が限界であった。徹夜で走り通したものだから無理もない。ペロルは行きつけの宿屋へ向かって走り出す。まだ朝が早いため人が少ないのだ。そのうちに宿屋にたどり着きたかった。


無事に宿屋にたどり着いたペロルは受付にいた妹ちゃんにお土産をねだられた。すっかり忘れていたペロルは。


「また今度」


と返すと、妹ちゃんは頬をぷっくりと膨らませていた。ペロルは頬を指で突きたくなったが自重しておいた。


宿の部屋へ入ったペロルはそのまま昼すぎまで眠ってしまった。

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