第6話 七夕

学校が終わったのでいったん家に帰って準備をし、公園で暁海を待っていた。だが約束の時間を過ぎても来ない。


五分ほど過ぎたところで、暁海がやってきた。


「ごめん。心配かけちゃった?」


「ちょっと、ね。暁海ちゃんが事故にあったりしちゃってたらどうしよう。とかは考えてたよ。」


「お母さんに友達呼ぶんだったら部屋きれいにしなさいって言われちゃって…。すっごい待たせちゃってたら本当にごめんね。」


「いいよいいよ。」


「じゃあ早速行こう!」


公園から数分歩いたところに、暁海の家はある。


「さ、入って入って!」


「お邪魔します。」


「今日は七夕だから、おやつでも作ろっか!ゼリーだったら今すぐ作れるけど、どう?」


暁海に誘われて、私はじゃあ作ろっか。と答えた。


ゼリー液を作って、固めている間に、暁海と話していた。


「ねえ、そういえばなんとなく聞きたいことがあるんだけどいい?」


「うん、どうしたの?」


「そういえば小学生の時、男子がいきなり何人も熱出して休んだことあったじゃん。あれってよく言われてたけどほんとに呪いなの?」


私がたずねると、暁海は少しにやりと笑った。


「鈴奈ちゃん、わかってたの?」


「えっ?」


「実はね…知らないうちに使っちゃってたみたいで」


暁海がそういうことに詳しいのは知っていた。なのだが、実際に呪いを使ったことがあるとは思いもしなかった。


「私、あいつらによく嫌がらせ受けてたじゃん、それであいつら休んじゃえばいいのに、とか思ってたらこの通りだから、もしやと思って調べてもたら案の定でさ」


「生霊飛ばしっていう方法らしくて、これもれっきとした呪いらしいの。」


「で、私のクラスに最近休んでる人がいるんだけど」


「それも多分私の呪い」


「そいつ前中間の点数自慢してきやがったの。」


「……」


びっくりした。

暁海がそんなにも呪いを使っていたとは…

驚いて声も出なかった。


「でも、使い過ぎには気を付けたほうがいいと思うよ。呪いは自分にも跳ね返ってくるとかいうし。」


「わかってるよ。で、そろそろゼリー固まったんじゃない?一緒に食べようよ。」


気がつくと、もう一時間半ほどたっていた。


二人でゼリーを取り出し、食べているところで、暁海が話しかけてきた。


「そういえば、生まれ変わりって知ってる?」


「なにそれ?」


「スピリチュアル的なことなんだけど、人は死んだらまた別の所に生まれて別の人生を歩み始めるんだそうだよ。」


「なにそれ。どこで知ったの?」


「何かネット見てたら偶然知った。」


「私たち、こんな仲いいんだから生まれ変わりが本当ににあったら何かしら関係あったかもね。」


そんな話をしているうちに、帰る時間になりそうだったので、暁海の家を後にした。


帰り道、自転車をこいでいると、前から人が迫ってきた。相手は走っているようで、こちらにも気づいていない。


間一髪で止まると、相手がこんなことを言ってきた。


「私のこと見えなかったの?見えたんなら止まってよ!」


相手は私より10センチほど小さく、私と同じ学校の制服を着た女の子だった。


年は同じぐらいだろうが、身長のせいかやけに年下に見える。


わたしが謝ると、気を付けてよと言って彼女は立ち去った。


(何なんだろう…あの人。)

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