第3話 初夏

「本読んでたんだけど、どうしたの?」


私の問いかけに、暁海は答えた。


「来週の月曜日、七夕だよね。だから短冊一緒に書いたりお菓子作りたいなと思って。月曜日空いてる?」


そうか。もうそんな時期だったのか。


私が一年で一番憂鬱な日、それは七夕だ。


別に今まで七夕に何かあったというわけではない。


なのだが、毎年この日はなぜか気分が晴れない。


ならばせめて暁海と遊んでいれば気分も晴れるのではないかと思った私は、


「塾はあるけど、8時からだからいいよ。」


と、答えた。


「じゃあ今度学校前の公園で待ち合わせね!」


と、暁海は教室に駆け足で戻ってしまった。


休み時間の終わりを告げるチャイムが、校舎に響き渡った。



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