第一章 七夕と人々

第1話  いつもの朝

はっ、と目が覚める。


ああ、いつもの夢だ。


自分の部屋から出ると、そこにいたのは母だ。


本当にありふれた、日常の風景だ。


「あれ、おはよう。いつもより起きるの早いわね。ごはんならもう用意してあるわよ。早くリビングにおいで。」


ということだったので、朝食を済ませ、支度に取り掛かった。


なぜあんな夢を見るのだろう、なぜあの場面を繰り返すのだろうか。


そう思いながら、せっせと朝の支度をする私。


私には親友もいるし、趣味もあるし家族もいるのに、満たされているはずなのに

そのことで朝は頭がいっぱいになってしまう。


「行ってきます。」


私は学校に向かった。


梅雨が明けたばかりなのだが、もうすでに蒸し暑い。


これから夏にかけて、どんどん暑くなっていくのだろう。


もうすぐやってくる。あの一年で一番嫌いな日が。



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