1万pv感謝 SS 月✖︎花

 僕からした口付けとはいえ…途中から玲緒奈の方が積極的になる。彼女と交わしながら視線を周囲に向けても、人の寄り付く気配はなかった。





 その事実も僕に拍車をかけたのか…ついつい、甘く蕩けるような快感に自らの口を彼女に委ねてしまう。




 そんな全身を震わせるような時間は永遠のようで、実はとても短い。きっと、この無限にも続く体感と現実の時間を照らし合わせるなら、その差は歴然としているだろう。




 ◆◇◆◇




 ——息が苦しい…!!玲緒奈は苦しくないの!?

『…たわけ、苦しいに決まっておるのじゃ』




 アフロディーテの鋭いツッコミに、ぐぅの音も出ない。




『そこまでしてまで、主との強い繋がりを求めておるのじゃ。それに、気づいていないのか?』

 ——何に?

『月と交わした時から、徐々に主は強くなってあるのじゃ』





 僕はアフロディーテの言葉に驚くことしかできなかった。最も…今のような状態では確認する術がない。





 だけど——なん…




『主のことじゃ。どうせ、その力の要因を探っておるのじゃ。だから、妾が丁寧に教えてやるのじゃ。まず、主は妾の奇跡魔法”女堕ちさせれば強くなる”をのじゃ』

 ——ん、それ以外に何があるのさ

『妾は其方が月の誘惑を断ち切った時に、なんて言うたか覚えてるの?』

 ——確か、それが正解じゃ、だっけ?

『それは、なぜなのじゃ?』

 ——雰囲気?

『たわけぇ!!”女を堕とせば強くなる”…それは正解なのじゃ。じゃあ、なぜ強くなるのじゃ?その答えは、主に対する女子への想いがあるかどうかが一番重要だからじゃ。ただただ、堕とせば強くなる。それはその通りじゃ。じゃが、それで得た力は、所詮、本物とは程遠い紛い物にすぎないのじゃ』




 僕はアフロディーテの言葉を聞いて、目を見開く。




 そうだ。確かに、如月健斗は手を差し伸べた女の子を虜にしていく。それはただ単に、数が多いから強いのではない。彼を付き従うヒロイン達は心の底から彼に!!




 ◆◇◆◇




 アフロディーテの言葉を聞きながら、僕なりの考えをまとめていると、玲緒奈が慌てて、離れて呼吸を整えている。




 ——そういえば、口付けしていたんだったぁ!?

「穂花…流石です…。私はあれが限界でした…。悔しいです…」




 彼女が目元に涙を滲ませながら、珍しく僕へ睨んでくる。




『愉快なり!!愉快なり!!月へ教えてやりたいものじゃ。主は、口付けしていたのを忘れて、妾と浮気しておったのじゃ——とな』

 ——アフロディーテ!!それしたら、許さないからね!!



「玲緒奈…僕のファーストキス大事にして…?」

「………責任取って結婚する…」




 えぇ…!?と、思っていると——食堂棟の方向から僕たちを呼ぶ声が耳に届いたので、その方向へ身体を振り返ると、陽ちゃん達がいた。




「玲緒奈、みんな待ってるから僕たちも、行こっか…」

「…うん」




 僕達はいっせーのでを合図に、彼女達の方へ走り出した。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 10000PVの記念SSです。



 

 

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