一方その頃(梓視点)


「これより…『りっちゃん先生抜け駆け阻止アンド梓の穂花に置いて行かれない作戦会議』を開きます」

「よっ、あたしの料理人!!明日から来なくていいよ!!」

「私の召使い…明日から仕事探し頑張りなさい…」

「う、嘘です。つ、つい調子乗ってしまっただけなんです。だから、解雇しないでくださぁぁい!!」




 穂花とりっちゃん先生が、梓達がいない間に修行に励んでいると知ったので、その翌日に食堂棟に行き、陽ちゃんと玲緒奈ちゃんで机を囲む。




 梓の大きな声で、周りの視線が酷く集中するけど、また懐に余裕がなく…綺麗な花を眺めるだけの存在に成り下がりたかったので、思わず二人に泣きついちゃった。だめだよ!!穂花の愛に関しては、ライバルなんだからっ!!




 もちろん、この二人が本気で言ってるわけじゃないし、意地悪そうな微笑みを浮かべているあたり、冗談なのは理解してはいるんだけど…梓にとっては生命線のため、軽視することはできないんだよぉ…!!




「それでいいのよ。あたしの料理人!!」

「私の召使い…雇用継続…」

「何度も言うけど!!玲緒奈、梓を初めに雇ったのはあたしだからね!!」

「梓の料理の美味しさに気づいたのは…私の方が先…」

「ゴホンッ、梓を褒め殺さないでほしいです!!後、『神降ろし』を早く習得マスターしなければ、りっちゃん先生に正妻の座を奪われてしまいます!!」

「そんなこと許さないんだから!!」

「絶許…」



「そこで梓に名案があります!!まずはっきりいいます!!梓は尾行の天才です!!その技を今から玲緒奈ちゃんと陽ちゃんにお伝えします!!常にローテーションしながら、必ず一人はりっちゃん先生を監視するのです!!」





 椅子から立って胸を張って二人へ告げると、きらきらと目を輝かせながら、拍手をする二人に対して、周囲から突き刺さる無数の視線…挙げ句の果てに隣に座っていたカップルが他の席へ移動する始末…




 うっ…梓にここまでダメージを負わせるとは…羞恥心、強い!!




「はいはーい!!質問ある!!どれくらい監視するのー?」

「たしかに…それはすごく大事な質問…陽にしてはやる…褒めてあげる…」

「なんで上から目線なのよ!!」

「…せっかく褒めたのに…」

「喧嘩はそこまでにしてください!!まず、監視時間に関しては、一人二時間でいいと思ってます!!」

「むっ…分かったー」

「…うん」


 その後、誰が先に監視するのかなど、話し合って決めた結果、梓→陽ちゃん→玲緒奈ちゃんの順に、かなり長くなりながらも決めることができた!!




 梓、よく頑張ったよ!!




 動きはこんな感じ!!一人はりっちゃん先生の監視、残りの二人は神降ろしの儀式を進めていくことになった!!




 ◆◇◆◇




 翌日、陽ちゃんがりっちゃん先生の監視を忘れて、三人で『神おろしの作戦会議』と名ばかりの食堂のスイーツを楽しんでいた頃、宮本さんがこちらへとやってきた。




「何?あたし達、今スゥイーツのハーモニーを楽しんでいるの!!」

「陽ちゃん、梓は加勢します」

「…」

「…………実戦棟の二階の階段を見るべき。拙者は、あの二人を見て、少し改めた。お前達も少しは見習うべし」




 彼女はそれだけを告げて、足早に去っていった。梓と陽ちゃんで目を合わせながら、首を右に傾げていたのとは、対照的に玲緒奈ちゃんは何かに気づいたようで、慌てて実戦棟へ走るのを追いかけるため、スイーツを全部食べた後、ギリギリでしたが陽ちゃんには追いつきましたぁ!!




 その代償に脇腹がすごく痛い…………ですが、食べ残しはだめです!!悔いなしです!!



 ゼェゼェと言いながら、先に到着していた玲緒奈ちゃんの隣に立つと、そこには…今にも苦しそうで倒れる寸前になりながらも、階段をゆっくり登るりっちゃん先生と穂花の姿でした…。




 陽ちゃんは、咄嗟にタオルや水などを取りに行き、

 玲緒奈ちゃんは両手を拳で強か握っているのが印象に残りました…。




 慌てて、梓も陽ちゃんの後を追いかけて、手伝いに行ったので、詳しくはわからないけど…あんなに悔しそうにしている彼女を見たのは、梓にとって初めてでした..。




 その後、準備が整ったので、梓達は穂花とりっちゃん先生を声をかけながら、汗を拭き取るなどして、たくさんサポートしました!!




 ◆◇◆◇


 まさか、その四日後に、りっちゃん先生が抜け駆けするとは思いませんでしたけどねっ!!しっかり、梓が見ていました!!


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