第2話:貴族のパーティって、人形がメイドでもいいですよね?

 「人形屋さん、また先日のメイド人形を貸してもらえる?」


 男爵家のメイドさんですね…またパーティでしょうか。パーティとかがあると人手が入りますからね…


 「先日のと言いますと、また2名でよろしかったですか?」

 「今回は少し忙しそうなの…3名何とかなるかしら?」

 「いつからご利用でしたか?」

 「そうね、週末からお願いできるかしら。期間は5日お願いしたいわ。」

 「わかりました。週末までに3体ご用意しておきます。」

 「お願いしますね。」



 メイド用の人形は2体しかいませんからね…今から作るとなると時間的にギリギリですね。今いる人形を教育した方が早そうです。



 地下の工房にまだ調整中の人形が何体かいますから、その中からいい娘を選びましょう。年齢的に若い娘の方が好まれるでしょうから、年齢から選びましょうか…

 この娘が良さそうですね。20歳くらいでそこそこ可愛いです。そこそこというのが気になってまだお披露目前だったのですが、メイドであればそこそこの方が良いでしょう。

 名前をつけてあげないといけないですね…今いるメイドが、メアリとジェーンでしたね。ステラにしましょう…クッキーがうまく焼けそうな子になるでしょうか…

 「さぁ、あなたの名前はステラに決まりましたよ。」

 ここからが私の人形使いとしてのスキルの見せ所です。私たち人形使いはこの世のほとんどのスキルを知っているのです。そう知っているだけなんです、自分では何一つ使えないんですけどね…


 私の使えるスキルは人形使いただ一つ。このスキルを使って私の知っているスキルを人形に転写するのです。転写できるスキルはその人形の出来によって左右されますので、人形師としての実力が大きく出てしまうのです。


 ちなみに私は男性の人形は作れません…若い女性にそれを作れなんて酷じゃないですか…


 このステラは正直あまり出来が良くないのです…お蔵入りしてたのはそう言った意味もあるのですが、メイドでしたら大丈夫でしょう。

 この子に入れられるスキルは2つ。職業スキルである、メイドを入れれば最低限のことはできるでしょう。今回はパーティとのことなので、接客でも追加すれば十分でしょう。

 後でスキルを入れ替えることもできるのですが、それは時間がかかるのでスキルの選択は重要なのです。


 私の数ある死にスキルの中から「メイド」と「接客」を転写しましょう。転写したスキルが定着するまで2日ほどかかりますが、週末までには間に合います。




 「メアリ、ジェーン、ステラ、店の中の掃除をしてもらえる?」

 『『『はい、マスター』』』

 ちゃんと返事をしますし、3人とも掃除もしっかりしてます。スキルはしっかり定着したみたいですね。


 しっかりしなかったのはミリーくらいでしょうか…人間味があって良いとするか、失敗作とするかが微妙な娘です…


 『かぁさま、メイドさんがきたよぉ。』

 「マスターと呼びなさいと言ったでしょ…」

 ほんと、ミリーはマスターと呼んでくれませんね…


 「人形屋さん、引き取りに来たのですが用意の方はできていますでしょうか?」

 「ええ、できてますよ。そこで掃除をしている娘たちが今回お貸しさせていただくメイドたちです。」

 「新しい娘が1人居るのですね。」

 「はい、その子は接客もできますからパーティでは重宝するかと。」

 「そうなのですね、それは助かります。」

 「また、パーティの季節なんですか?」

 「そうですね…男爵様の所ではそれほど多くはされないようですが季節的には多くなってきていますね。」

 そうすると他の貴族家でも御用があるかもしれないですね…

 「それでは今回は5日間という事で、もし延長とかありましたら早めに教えていただけると助かります。」

 「わかりました。伝えておきます。」



 パーティですか…私は縁がないですね…どんなところか一度見ておきたい気がしますが…そんな機会はないですね…今度どこかのパーティにメイドを貸し出すときに聞いてみましょうか…人形たちの働きぶりをみたいので私も行って良いかと…

 無理でしょうね…招待されることは…もっと無理ですね…


 女の子ですから1度くらいはパーティとかに出てみたいですよね…



今回の収入

メイドドール…金貨1枚、銀貨5枚

 貸し出し 3体 5日


合計 金貨22枚、銀貨5枚

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