Day.7 【9面クリア】『レインボー』
1980年9月7日(日)
今日で最終日。オーナーにお願いをして午後からは客としてゲームを使わせてもらうことにした。
「いらっしゃいませ。」
「こ、こんにちは。」
昨日の女子高生だった。
メロンソーダを運んでいくと、話しかけられる。
「お兄さん、昨日はあの後、彼と会えました。ありがとうございました。」
「よかったね。安心したよ。」
こういう風にお客さんと話す日も、今日で終わりなのが寂しい。たった1週間だけの職場だったが、もうこの店のお客さんたちにも、まかないのコーヒーとトーストにも、愛着が湧いてしまっている。
「それから…、うちの父もお世話になってるみたいで…。」
「え?」
「昨日、酔っ払って帰ってきて、店員のお兄さんとゲームをしてその後飲みに行ったって聞いて。」
彼女は営業さんの娘さんだったらしい。世間は狭い。
女子高生には、ご馳走になったお礼と、今日は午後から客としてゲームすることを伝える。
「お兄さん、ゲームが好きだけど初心者だって聞きましたよ。お仕事終わったら、お礼になるかわからないんですけど、お父さんも知らなかった新しいゲームの裏技教えましょうか?」
「裏技?」
「『レインボー』ってやつです。最後の1匹に10点の敵を残すと、ボーナス点が入るんです。元々は残像が残る不具合だったみたいなんですけど。」
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【ミッション】『レインボー』を成功させよう。
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ひとしきりゲームをした後、女子高生はメロンソーダを飲み終わると俺に挨拶をしてから帰っていった。
最後に、厨房で料理をしているオーナーに声をかける。
「オーナー、今、いいですか?」
「あら、こんな時間。いままでご苦労様だったわね。後は遊んでていいわよ。」
背中越しにつっけんどんな言い方は相変わらずだが、少し寂しそうなのが伝わってくる。
「帰ったら、また店来ますから、体に気をつけて待っててくださいね。」
オーナーは背中を向けたまま、「決めたんなら、あとはがんばりなさい」と言ってくれた。
さあ、最後のゲームだ。
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【ミッション】9ステージクリア
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Day7
収入:日給の5,000円
成果:9ステージクリア
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