第21話 インフルエンサー

「ああでも手が勝手に動いて避けれない」

「そのグローブ外せないのか?」

「まずボクシングのグローブ自体つけたことないんだよ!!!!」

不可視の斬撃はどんどん近づいてくる。

リリリリリリリリリリ!!!!!!

「電話だ!やべ!」

ネクタイを整えて、眞田氏は電話に出た。

「はいアクシス社長です」

「どうも。世界最強インフルエンサーの飲古いんふる縁紗えんさです」

電話に出た瞬間、斬撃が消えた。

「おおちょうどいいタイミングで。今のうちに外せ!!!!!!」

「どうやってh」

「知らんそんなの」

眞田氏はこんなやりとりをしていた。

「はい。RPGヘルメットですね」

「そうだよ!それ被ってたら、自転車に衝突して、全治20年だってさ!どうしてくれんの!!!!!!」

「すみませんお客様。怪我などの事故に、我が社は一切責任を負わないと、説明書に記載していたのですが……」

「ハァ?そんなの知らないよ!いい?おじいちゃん。私は世界最強インフルエンサーなの。私が発信した情報はすぐに反響し、アクシスはすぐに炎上するんだよ?謝らなくていいの?」

「ですが我が社は」

「お客様は神様なんだよ?私は世界最強インフルエンサーなんだよ?つまり?」

「……大変申し訳ございませんでした」

「………反省が足りない。今から押しかけるから、土下座の練習でもしてなさい?」

「承知しました」

眞田氏は電話を切ると、床に投げ捨てた。

「クッソ、信頼を失ったら、また霧を出すしかねぇな」

「霧?」

「ん?ああそうだ。続けるぞ!!!!!!畜生!」


『シュリンク』


突然高島の体が小さくなった。

「子供は子供らしく小さくなるがいい」

「こんな昭和の価値観好きすぎ大人がいるから、いつまでも日本はちっちゃいんだよ!!」


『ブルーオーシャン・ラビリンス』


突然床が盛り上がり、まるで迷路のようになった。

「日本はいつまでも迷宮入りだなぁ」

「物理的な迷路なんて聞いてない!」

「そりゃ言ってないからな」

元々巨大な迷路だったのに、さらに高島が小さくなったおかげで、迷宮どころの騒ぎではなくなった。

「ハッハッハッハ…ッハッハッハッハ」

「笑い声が聞こえる方向……どこだここ…」

「完全に迷ったっぽいな」

突然目の前に、電気のスライムが出てきた。

「まだあったのかこれ」

「すごい圧だな」

しかもこのスライム、地味に動いているのだ。

「……ちょっと、逃げようか…」

「………ん?なんか変な音がする……?」

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