エピローグ

 竜の背、それはアルサーナ王国とグレンフェル王国を南北に分かつ山脈の一部を指していた。その山脈は東西に長く伸び、西の端にある竜の尾と呼ばれる岬の先、さらには海底にまでその隆起を続かせていた。

 そのため、二国を往来するには険しい山脈を超えるか、隆起によって生み出される複雑な海流を避けて大きく迂回する海路を使うかを、旅人たちは迫られることになった。

 しかしミーナたちは、報奨代わりの潤沢な路銀を受け取り―― 一国の女王を救ったにしてはあまりにも少ない額だが――豪華な客船でのゆったりとした船旅を満喫していた。


「なあミーナ、さっきから何読んでるんだ?」

「これはねー、アルサーナ王国の始まりを書いた本」


 南下するにつれて、その日差しの強さを増す太陽。初夏の陽気を満喫するかのように、甲板上で冷たい飲み物を口にしていたジェフは少女に言った。


「ほんと、お前そういうの好きだな。あんだけすげえもん見て、まだ物足りないのかよ」


 グラスに注がれていた、橙色の甘酸っぱい液体を飲み干した少年は、呆れたような顔を浮かべる。


「うるさいな~、この話にも紅いドラゴンと蒼い瞳の騎士が出てくるんだよ! ロマン感じない?」


 はりつやのあるふっくらした頬を更に膨らませ、露骨に不快感をあらわにするミーナ。すると、彼女らの傍らでまどろんでいたエリーがその会話に割って入った。


「ええ、ロマン感じるわ。次はどんな冒険に出掛けようかしらね。でもジェフ君は興味が無さそうだから、次回はお留守番してくれて良いわよ」

「え!? エリーさんがそう言うなら、地の果てでも一緒に行きますよ!!」


 恋慕の情を向ける娘に冷たくされた少年は、勢い良く立ち上がると弁明にも似た台詞を吐く。

 そんな彼を見たミーナとエリーは、顔を見合わせた後に肩をすくめ、クスクスと笑いを漏らし始める。そして照れ隠しなのか、つられて笑い出すジェフ。

 三人の楽しそうな笑い声は、穏やかな、瑠璃色の大海原へと吸い込まれていった。






あとがき


 こんにちは、この度は拙作を最後まで読んで頂きありがとうございます。今回はうちの子「エリー」が主人公のお話でした。

 自分自身の力量もわきまえず、政治がらみチックな話を書くという暴挙に出た私ですが、ちゃんと内容が伝わったのかに怯えながらこのあとがきを書いています( ;∀;)

 それと、前作を読んでいなくとも楽しめるように書きたかったのですが、結果としてはそうならなかった気がする事、そして勢い重視で書いた感が拭えない点は反省です(今回もかよ……)

この話も、いつか加筆修正のリメイクを行って、同人誌化出来ればと思っています。


 再度、ここまでお読み頂いた事に感謝いたします。拙い作品だったと思いますが、最後までお付き合い頂きありがとうございました。




追伸


 良かったら前作「ミーナの冒険 紅の宝玉」も読んでね(^^ω)/←作者近影

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ミーナの冒険 蒼眼の姫と深紅の竜 きょん @kyonnc19

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