第二章 バンフ発、プリンスエドワード島 目指して

第18話 エドモントンの街と Commonwealth Games

 8月2日

 5か月半ぶりに、完全にバンフを離れた。カナダ一人旅の第二章が始まったような…。今日からはバックパックの旅だ。


 朝バンフを発って、夕方エドモントンに到着。明日から1週間、このエドモントンでCommonwealth Gamesが開催される。その間、YMCAに滞在する事にした。Christianではないけど、まあいいか!

 コモンウェルスゲームズとは、イギリス連邦に属する国、地域の参加のもとに、4年ごとに開催される競技大会で、日本では英連邦競技大会と呼ばれている。カナダで開催されるのは24年ぶり、何とラッキーな事か。


 夕方、イートン百貨店の書店で、"Anne of Green Gables "を見つけた。日本では、有名な”赤毛のアン”である。カナダの女流作家・モンゴメリー夫人によって書かれた世界中に知れ渡っている少女物語だ。ヒロの部屋に日本語版があったので完読していた。私の前にヒロが一緒に住んでいた日本人女性が置いていったものだ。大変爽やかで面白く、読み終える前、既にプリンスエドワード島にある物語の舞台を訪れる事は決めていた。

 帰国前に読み終えられるかな? 実は全然無理だった。日本語版を完読していたので、英和辞典を使わなくてもストーリーはそこそこ捉えられると思っていた。ところが初対面の単語が多すぎて無理。子供用のを探せば良かった。結局、初めの数ページだけでギブアップ。情けない。


 8月3日~8日

 Commonwealth Games の開催期間である。

 初日、開会式を観に行こうとしたが既に入場券は売り切れ。やむを得ず入場前の選手を見ていたら、何とイギリスのエリザベス女王が車から降りて来た。開会式出席の為であろう。

 お顔はTVで何度も拝見してたので、すぐご本人だと分かった。TVで見てたのと同じにこやかな雰囲気で、とても気品の高い印象を受けました。


 2日目、入場券が入手できなかったので街をブラついてみた。州の立法ビルでスコットランドの親切なおばさんとお話する機会があった。以前に遠くアラスカまでヒッチハイクをした事があるそう。大変元気な日本人びいきの人だった。それにしても、ヒッチハイクでアラスカまでとは、凄い!


 AGTタワービルの横で黒人女性グループのダンスが見られた。もの凄く美人ぞろいのグループと、もの凄くそうでないグループが一緒に踊っていたが、同じ人種であろうか⁉


 レイク・ルイーズやジャスパーのレストランではバンフで働いていた人を見かける事があったが、この街のレストランにもカルガリーで働いていた日本人がいた。また奇遇にも、バンフのヒロの部屋の隣室に住んでいたちょっとプレイガールっぽい2人組を見かけた。苦手なタイプだったがカナダに合わせて声を掛けてみたが、怪訝そうな顔をしていた。バンフでは、私は眼中に入れてもらえてなかったようだ。


 3日目~最終日、連日陸上競技場に足を運んだ。入場券を購入する時、ほっこりする事があった。


 一列に並んでいたら、12歳ぐらいの男の子が入場券を買い過ぎていたと見え、手にしている入場券を上げたまま20%引きにするから誰か買ってください…らしき事を叫んでいた。もうすぐ自分の番だから誰かに任そうと思っていたが動きがなかったので手を上げた。少年は20%引きで良いと言ってくれたが、子供からディスカウントは大人げない。正規のプライスで良いと言って払おうとしたが、少年は毅然として受け取ろうとしなかった。20%引きのお金を受け取り笑顔で駈けて行った。子供でも立派な大人だった。


 競技観戦

 ロ-ンボーリング、ボクシングはあまり面白くなかった。何と言っても、やはり陸上競技である。

 それにしても、地元に対する声援はすごい。800m女子でカナダが1,2フィニッシュした時、観衆は拍手喝采、大喜びだった。100m金メダルのジャマイカの選手は、1970年以来3大会連続の金メダリストになった。10種競技に大活躍のトンプソン選手は全てにずば抜けていた。

 最終日、ラストを一生懸命走る選手に盛んな拍手を送るカナディアンの精神は実に気持ちが良い。10種競技はトンプソン選手が抜群の成績で優勝したが、全10種目終了後、参加選手全員が手を取り合って場内一周したのが凄く感動的で素晴らしかった。

 チーム競技ではみっともないシーンを時々目にするが、陸上競技は素晴らしい。

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