闇と光を追い求めた、祈り虫たちの生き様。

陰鬱でありながらも、どこか儚く艶やかで…しかし、何よりも美しい筆致と描写で描かれた「生を光とする男」と「死を光とする少女」の生き様。
互いの全てが相反していた二人でしたが、次第に心を通わせてゆく様は非常に温かいものでした。
特に、「少女の涙」の意味を知る男の心を描いたシーンが、深く心に刺さりました。彼はきっと、誰かに己のことを想って泣いてもらったことなどなかったのでしょう。男が初めて貰った少女からの「無償の愛」に、優しい闇を見出して、声にならない声で泣いている様には涙せずにはいられませんでした。
そして、終盤にかけてのストーリーは本当に衝撃的な展開でした。
彼は、彼なりに足掻いて、足掻いて…きっと、少女と共に底なし沼であった地獄を脱することができたのだと、個人的には思いました。
いつか、彼の「白闇の祈り」が、少女に届いて欲しいと。我々読者も、祈らずにはいられないのです。