生を求める男と死を求める少女、二人が迎える結末は――。

流麗な文章で紡がれる、生と死の物語です。

暗い雰囲気の作品なのですが、巧みな描写と考え抜かれた筆致に夢中になり、あっという間に読んでしまいました。「魂のかたち」が見えるという男の眼、脆く儚い少女の涙、過去の罪――そうした要素が物語に息吹を吹き込んでいるように感じます。重々しくも美しい二人の愛を、夜の帳が下りつつある白い湖の向こうに見ることができたように思います。