騎士と世界樹(前編)

第32話 監獄1

ダンジョンを出て1週間ぐらいすぎて、僕はルナとはぐれてある場所にいた。


「寺坂 徹と言ったな。貴様は何が目的で神聖な世界の森にいた。何者だ。」

目の前の僕と同年代ぐらいの犬の耳を持った筋肉質の青年がそう呟いた。


「目的とかはないんですよ。仕方なく。」

そう僕が答えて


「そんな訳ないだろ。目的なく、中央大陸に人間が、それも世界樹の付近にいるのは、貴様半年前のやつの仲間か?」

そんな良くわからないことを言われても


「知りませんって、濡れ衣で冤罪ですよ。とりあえずこの手錠を解いて牢屋から出してくれませんかね?」

そんな風に主張するしか出来なかった。これと似たようなやり取りを数回繰り返していた。人生で捕まることがあるなんてと少し思ったが、異世界に来てるのだから捕まるなんて実は大したことないかも知れない。それとここは、獣人族の里らしい。


「そんなこと出来るか。そもそも、貴様がもし、悪意を持ってなくても世界樹の森にいたのは、この里では、この大陸では重罪だ。それに加えて、貴様はこの国の騎士団に損害を与えた。」

そりゃ、ただで捕まらないだろう。何も知らないんだから、それに剣を使ってないから、セーフでいけないのかな?

そう言った青年は、この人、名前なんていうのだろうか?まあ、よっぽどの事がない限り、ルナが迎えに来てくれるだろうし、とりあえず、のんびり話でも聞くことにしよう。まあ最悪逃げることも不可能でないしな。


「そういえば、あなた名前何ていうんですか?」


「………バレットだ。貴様、捕まってることを忘れてるか?」

そうバレットさんはキレ気味に呟いた。


「でもバレットさんも僕に有効だないですよね。忘れてます?」


「………それだよ、貴様のさらにおかしな所はそこだよ、なぜ攻撃が効かない?何者だ、悪の使いか?悪の使いは言いずぎだったな、済まない。」

バレットさんはこっちを睨みながら、そういった。何だかんだ良い人そうだしな、この人。


「そんなことを言われても、そういえば、半年前の話っていうのは何ですか?」


「貴様、捕まってるんだぞ。………半年前にこのあたりの集落を一人の人間が襲って回った、理由は不明だが。その人間は、しばらくしたら何処かに消えてしまったが、それでこの国は多くのものを失った。私の父も、この国の先代族長も亡くなった。」

良い人だと思うがめっちゃ喋ってくれること人。大丈夫なのかな?


「流石に喋りすぎではないですか?」

思わず、心配してしまった。


「…………では、尋問の続きを始める。」


「…………」

話を変えたじゃんこの人。


「それで、どうして貴様たちは、神聖な世界樹の森にいた。」

何回目だこの質問。


「目的とかはないんですよ。仕方なく。」

不可抗力である。どうやっても神聖な?世界樹の森に出てしまうのだ。


「分かった、貴様らが目的を持ってなかったとして、なぜ仕方なくそこにいた。」

これを言ったところで、信頼されないだろう。だって少なくとも、ルナ曰く、400年クリア出来てないダンジョンをそれをクリアしましたって。嘘にしか見えないでも言うか、一応言っておくか。


「えっと、世界樹のダンジョンをクリアして」

すると目の前の人物は首を傾げた。


「貴様、何を寝ぼけたことを言っている、あのダンジョンに入場するには、許可が必要なんだぞ、貴様らの記録などないだろ。あったら覚えている。」

記録はないに決まっている、不正入場コンビなのだから。あっ、だったら。


「じゃあ、半年より前に、誰か入場する許可を貰った人間はいませんでしたか?」

そのころに強欲とかいう化け物がやってきてるから、多分、許可を…………許可取ってなさそう。


「半年前?その頃は、それどころじゃなかったから、もしや貴様半年前に入場したとでも?そんな嘘は通じないぞ。そもそもあのダンジョンをクリアしてってその嘘に無理がある。」

うん、無理だ。無理ゲーだ。どうしようもない。よし、うん、無理だ。とりあえず、しばらく捕まっておこう。でも、どうして僕はあの時に囲まれたのだろうか?いきなり、囲まれるなんて不思議でならない。


「ああ、全然関係ないですけど。どうして僕がいる場所が分かったんですか?」

そう僕が言うと、親切なバレットさんは言葉を返した。


「それは、聞いたんだよ、君らを見たって人から、その人も不法に世界樹の森に入っていたから捕まえていたが……」

ああ、なるほど、なるほどな、あの子か。


「ていうか、僕しか捕まえられてないって、全然仕事で来てませんね。」


そう僕が言うと目の前のバレットさんは

「貴様、捕まってるやつがうるさいぞ。」

そう声を荒げていた。その後いろいろ言っていたがひとまず、こういう時の鉄板行動であることをして見ることにした。とりあえず、どうしてこうなったかを振り返ることにした。

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