第31話 閑話 大罪の円卓
この世界のある場所での話。
「皆さん、今回はしっかりとお話を聞くんですね。自由にやらせてもらうとか言っていたのに、嫉妬しますね。」
不気味な青年は、そう言って笑った。
「あああ?嫌味か。嫉妬。一年回って400年でこの世界が変わってることに困惑してるんだよ。ああ、だからてめえらの様子を見に来たんだよ。」
そう筋肉質の青年がキレ気味に呟いた。すると何故かこの部屋の温度が上昇した。
「ふふふ、憤怒ちゃん、怒らないのよ。」
その人物は美しかった。誰もが彼女に溺れそうだった。
「そんな話はどうでもよい、俺の時間を無駄にするのか」
金髪の美青年がそうつぶやいた。
ほかにも興味なさそうに食べ物を頬張る少女と、机に眠そうに突っ伏す青年がいた。
「では、皆さん、本題に入りましょうか。単刀直入言うと、強欲が死にましたね。」
不気味な嫉妬の青年がそういった。
「あああ?おい、新入り?何を冗談を言っている?あの強欲が簡単に死ぬわけないだろ。誰だ、誰が殺した、俺がぶっ殺してやる。」
筋肉質の青年がキレ気味にそう叫んだ。
「嫉妬君。説明をちゃんとしてくれるかな?強欲ちゃんには、私がお仕事を頼んでいたのに。」
そう美しい人物が優しく呟いた。
「強欲さんが死んだっていうのは、まあ確証はないんですけどね。ですが、反応がないんですよね。私の空間操作能力で、彼の場所に移動することが出来ないんですね。」
不気味な青年は呟いた。その発言で辺りは静まり返った。
その空気を破壊したのは態度のデカい、金髪の美青年だった。
「死んだか。強欲は。それまでだって、ことだ。」
そういってその場から去った。その場には全てで4人が残った。
その状況で今まで口を開いていなかった。けだるそうな青年が口を開いた。
「暴食がどっかにいった。」
「「えっ」」
「面倒だが、暴食を探しにいく。後は知らない。」
そう気怠そうに青年は呟いて消えた。
嫉妬は少し申し訳なさそうに
「まあ、人は減ってしまいましたけど、話の続きをしましょうかね。お二人には、強欲さんを殺した人を大罪スキルの強欲を奪い取った人を探して欲しいんですよね。」
「あああ?ああ大罪スキルは所持者を殺した場合は殺した奴に引き継がれるとかだったか?」
少し、冷静になりながら筋肉質の男はつぶやいた。
「探すって言ってもあてはあるの?嫉妬ちゃん。それに、探してどうするの?」
そう美しい女性はつぶやいた。
「皆さん忘れっぽいですね。大罪スキルを所持している人は7人いる必要があるんですよね。忘れましたか?嫉妬しますよ、その能天気さ。」
そう不気味な青年は呆れながらつぶやいた。
「おい、新入りいいい」
そう筋肉質の男はキレながらつぶやいた。
それを少し無視しつつ嫉妬は言葉を続けた。
「強欲を殺した可能性がある人物がいるのは3つのパターンがありますね。」
そう言って嫉妬は地図を持ち出した。
「おい、嫉妬、なんか言えよ。」
筋肉質の男がキレるのを
「しー、憤怒ちゃん。」
そう美人が言って、憤怒が黙らせていた。
地図には3つの場所が記されていた。
その1 魔大陸の魔王城
魔王の適合者が現れ、新たな魔王が誕生した。
その2 エル帝国
異世界からの勇者が力を付けるとともに軍隊が強靭になった。
その3 中央大陸の沿岸部
謎の強い剣士がいるらしい。
「それでは、色欲さんはエル帝国を、憤怒さんは魔王城をお願いしますね。」
そう嫉妬がいうと
「まあ、仕方ねえか、言っておくが、俺は加減とか出来ないから、先に魔王城の住民を滅ぼしてしまうかもしれねえからな。」
そう言い残して筋肉質の男が消えた。
「嫉妬ちゃん、私遠いじゃない。ああ、それと私は、大罪スキル強欲を持っている人間に勝てるわけないから、すぐに逃げてくるからね。」
そう言って美しい女性も消えた。
一人残った嫉妬は
「さて、大罪スキル、強欲、それを倒せる人物がいるなんて、嫉妬するね。」
そう不敵に笑みを浮かべながら呟いてその場から去った。
世界のとある場所、強欲、川野 レイジは死にかけていた。もう、取り返しのつかない状況であることは確かであったが、それでも彼は、敵たちの包囲網を抜けてある場所に来ていた。そこは古びた墓場で、もう400年以上前に死んだ人が眠る墓であった。
「俺は、強さを得たはずだ、正面から負けないぐらいの強さを得たが、強欲に強さを得て、それで……俺は、何でこんなに欲深く力を求めていたのだろうか。強くなっても君はもう………」
そう呟いたそのまま、強欲は息を引き取った。
「君がこんなに早く退場するのは初めてだよ、負け犬」
そんな風にその人物を嘲る誰かの声が響いた。
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