レシーバーを決めよう


さてさて、いろいろ話し込んだけど、まだついてこれてるかしら。

次はレシーバーをきめるわよ。


レシーバって要は、鉄砲の弾が入れて、

撃ったら薬莢がポロリする部分って事でいいんだよね?


言い方…。

まあ、概ねその認識で大体間違ってはいないわね。

弾倉をはめる部分で、遊底とかブリーチやボルト、複座バネや緩衝器

いろいろ一杯ごちゃごちゃ詰まってる、トリガーメカニズムを含んだ

銃の心臓部ってところね。


難しいことはよくわからないけど…

弾が発射される部分をきめるってことでいいんだよね?


そうね、アンタの場合には、作動方式とかの詳しい話は置いておいて、

私がそれぞれの方式のメリット、デメリットを説明するから…、

その中でアンタが自分に合いそうなものを選ぶ感じになるかしらね。


お、さすが!持つべきは詳しい友達だにゃー。

茶もケーキも何でも頼んでください旦那、へへへ…


そうね、アサルトライフルで精度を出したいってなると…。

私がまず思い浮かぶのが、ローラーロッキングシステムと

ディレードブローバックシステムを組み込んだ、G3系統のレシーバーね。


このシステムのメリットは、射撃サイクルにガスチューブが不要なことから、

バレルと他パーツとの緩衝を無くす、フリーフローティングバレルにした際の

バレルへの負荷が少なく、高精度を出しやすいのよね。

それとガス圧を利用する形式と比してボルトが小さく軽いから、

前後運動のモーメントによって生じる反動がマイルドってところかしらね。


欠点としては、他のガスオペレーションのように弾薬の圧力に応じてガス圧の

調整ができないから、徹甲弾のような燃焼速度や圧力を高めてある弾を使うと、

ボルトの部分に薬莢が挟まって剪断される「薬莢切れ」が発生する恐れがあるわね。


この方式を使った銃には、アサルトライフルならG3ファミリー、

その狙撃銃型のPSG-1なんかがあるわね。


おー、PSG-1ならしってる!漫画とかアニメに出てくる奴。


確かに、PSG-1は創作物には良く出されるメジャーどころよね。


高精度なのはよさそうだけど…弾薬切り替えのリスクを考えると

採用はちょっと難しいかなぁ?


あと、冷戦時代の銃が代表になってる当たり、察せると思うけど…、

廃れちゃって久しいのよね。


ボルトアクション並みの精度が出る半自動小銃は魅力的だけど、

構造が複雑で繊細なものだから、整備の手間がね…


次はオープンボルト方式、オープンブリーチファイアともいうけど

こちらは候補から外してもいいわね。

高精度を求めているなら採用すべきではないわ。


何でオープンボルト方式はアカンの?


この方式は、撃発前の瞬間にボルトが前進するんだけど、

その時のモーメントによって重心変化が起きて照準がブレちゃうのよね。

だから、初弾の命中精度が悪化しやすいのよ。


あー…、それは確かにアカンやつ。


オープンボルトは構造が単純で、安く大量に作れるから

コンスプリクトみたいな低級アンデッドがよく握ってるのを見るでしょ?

まさに「低性能だけど安価」、安かろう悪かろうの銃ってところね…。


レガシ―設計の有名どころだとUZI、ステンSMG、PPSなんかね。

今だとジャンクマシンガンみたいな有象無象の密造銃が使っている方式ね。


あー、なんとなくわかる。強盗が持ってそうな奴。

確かにそれだと採用するわけにはいかないかねぇ。

せっかく高精度のバレルとサイトをえらんでも、

レシーバーの方で台無しにしちゃったら意味ないもんな~。


でしょ?

正直、何も考えず、ガスオペレーション方式の採用がいいと思うわよ。

ストーナー式とか、リュングマン式直噴とか過渡期の方式はいろいろあるけど、

今時分だとショートストローク=ガスピストンが支配的ね。


対になる方式にロングストロークガスピストン方式があるけど、

こっちは若干反動と精度が悪化するから、ショートでいいと思うわ。

AK-74シリーズに採用されてる方式で、歴史と実績はあるけど…。

アンタが使おうとしてる6.5mmに口径を上げちゃうと、

流石に反動の悪化が無視できないレベルになっちゃうわね。


ふむふむ。


整備性は良くなるんだけどね…。

中、遠距離で使えるように、っていうコンセプトから外れちゃうから

採用は避けた方が良いでしょうね。


じゃあそのショートストロークピストン方式に当てはまる奴を探せばいいのね。

あと、パーツ選びでなんか気を付けた方が良いことある?


そうね、トリガーに関しての説明をしてなかったから、

そっちの説明も軽くしておこうかしら。


トリガーメカニズムに狙撃用の調整を行う場合だけど、

一般的には「キレのいいトリガー」が、いいトリガーって言われてるわ。


これがどういうことなのか、具体的に言語化すると

トリガーに力をかけた時、セカンドステージの引き幅が小さいって事ね。


うむ、ぜんぜんわからん!


…ちゃんと説明するから。

トリガーを引くファーストステージはいわば「遊び」の部分ね。

安全の為用意されてるひき幅のことで、この引き幅が終わると

壁にぶち当たったような固い感覚、セカンドステージに到達するわ。


そこからさらに力を入れると、シアが外れて撃発されるわけだけど、

ここの引き幅が狭く、適度な力で引けるのがいいトリガー。

悪いトリガーは引き幅が広かったり、トリガーの重さが不適切なトリガーね。

重すぎると単純に苦労するし、軽すぎると、前触れもなく発射される感じになるわ。


照準が決まったタイミング、そのズバリで発砲するには、

自分の感覚にトリガーが合ってないといけないからね。

軍用銃ならトリガーに合わせろってなるんでしょうけど、

自前で用意するなら、ここは拘っていい部分よ。


実用面以外でも、トリガーのキレや力加減が良い塩梅だと、

使ってて楽しいっていうのもあるからね。


なるほどにゃー。たしかに一番集中して操作する部分だし、

大事にした方が良い気がしてきた!


あ、後は一つだけ。

あまり遊びの部分をキツキツに調整してしまうと、

ボルトキャリアの前進をロックしてるシアーが消耗してきたときに、

不意の発砲が起きてしまうから、そこだけは注意ね。


それに、ものによっては遊びやセカンドステージの幅を調整できないものが

合ったりするから、そこは調達する前に見ておいた方が良いかもね。


トリガーは「ガラス棒を折る」感覚で操作できるのが最適とされているから、

調整のときはちょっと気にしてみるといいかもね。


おっし、おかげ様でだいたい決まってきた感じがしてきたにゃー。


大体どんなものができるか想像できるようになってきたけど、

さてどうなることかしらね。


――ストックとハンドガード、M-LOKにつづく。

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ライフルを新調したいんだけど、何選んだらいいの? ねくろん@カクヨム @nechron_kkym

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