第26話
俺の後ろを付いてきてねと、そう確認してから4層に降りていく。確かこの層のモンスターは馬だったか。一頭捕まえて乗っていきたい所だぜ。
馬は俺達の勢いにビックリして逃げ惑っている。コレなら戦わずに済むし、罠があっても先に馬が掛かるんじゃないか?と思うくらいに馬は走り回っている。
一応ギルドで地図は確認しているので道に迷うことはない。ただ、トラップだけはランダムらしいので少し慎重に移動するしかない。慌てずに急げって奴だね。
そんなでトラップにも掛かる事なく5層へとたどり着く。多分1番厄介な階層だと思う。何せモンスターはウルフだ。絶対に好戦的なモンスターだ。
ここからは俺の魔法「ソナー」を使いながら進む。マジでこれこそサバイバルだよな!かなり燃えてきてるぜ!
ポムの方を見ると力強く頷いて来たので移動を開始する。早速ソナーに数匹のウルフが引っ掛かるが、部屋が違うので平気そうだ。
多分5層の半分辺りまではモンスターを避けながら進んで来れたが、丁度ソナーを使ったとき、一箇所違和感のある反応が帰ってきたので調べてみることにする。
時間的にはまだ余裕があるので、ちょっとだけ道をそれる。その先にある部屋の入口で息を殺して中を覗くと、久しぶりの宝箱だ!
ただ、周りにはウルフが3匹寝ている。
これは先制攻撃のチャンスだ。まずは俺の爆発魔法で開幕と行きましょうかね!ウルフからは一応皮が取れるのだが、この際燃やし尽くしても良いと思う!
俺はポムに目配せをして、爆発魔法をモンスターの真ん中を狙って発動させる。爆風と轟音でウルフはパニックを起こしているのがソナーで解る。
俺はナイフを握り、ウルフの首を掻っ切る!一匹目はそれで倒せたと思う。ポムも少し間をおいて、ウルフを一匹叩き殺していた。ポムは普通に強いよな。力もあるし、武器も破壊力があるからな。
残りの一匹はこちらに向かって唸っているが、ただそれだけ。俺とポムの敵ではなかった。倒したウルフから魔石だけ取り出して残りは放置。
ウルフの魔石はボアの魔石と比べて少しだけ大きい気がするが…そこまで変わらないか?
俺達は宝箱を前に少し観察している所だ。
罠が有ることをすっかり忘れていたのですよ…。ポム…開けてみたいか?とは言えずに俺が行くしかないよな…。
まずは明り用の杖で遠くから突っつく。特に反応はない。ソナーで使う俺の魔力は箱に弾かれて中は分からない。良し行くか!
パカ
特に何も発動することなく宝箱は開いた。中には一塊の何かの鉱石が入っていた。
魔鉄鉱石
レア度4
魔力を蓄えた鉄の鉱石
製錬すると高品質の魔鉄を取り出すことが出来る
「魔鉄鉱石だってさ。聞いたことある?レア度4みたいだけど」
「魔鉄鉱石ですか?勿論聞いたことはあるですよ。ボク達の今の武器の素材よりも上のグレードなのですよ」
「俺らのって、鉄の上って事?じゃあ持って帰るか。お、これ結構重いぞ?多分30キロは有るわ」
愚痴りながら俺のカバンに入れて背中に背負う。よし進もう。
その後はウルフを極力躱しながら6層へと到着した。多分ここまで3時間位で来れたと思うな。明りの魔石の残り時間から計算してみても、やはり3時間15分だった。
良し、1丁狩りますか!ソナーを使うと早速近くに1頭居るのが確認出来る。
間近で見るとかなりデカい。そして何と黒毛の牛だ!牛なんて小学生の頃以来会っていないからな。牛なんて普通は会うことは無いよね?
これ1トン位あるんじゃないだろうか?知らんけど。ポムに潰すなら頭ね!と伝えて戦ってみる。
牛は肉と皮と魔石が取れる。ただ、皮はここで剥いだら時間が掛かってしまうので持ち帰ってから剥ぐ予定だ。
牛と対峙してみて分かったことは、迫力がハンパない!角で刺されたらヤバイよな。牛はかなり興奮状態で、まるで闘牛の様だ。
牛は頭を下げて、真っ直ぐ突っ込んでくる。そこをポムのスキル、インパクトで頭を粉砕して1丁アガリ!とても簡単なお仕事です。どこかの国の屠殺場のようで心苦しいが、美味しく食べてあげるからね。
そのまま後ろ足を壁沿いで持ち上げて頭を切り落として血抜きをする。舌とかも特に要らないので捨てて行く。地球のスーパーが恋しいわ…。
捨てるのは頭、足、脚、内臓。流石に内臓は知識が無いので捨てていく。そして持てる重さまでバラ肉を削って行く。これは俺の好みの問題だ。バラよりロースでしょうよ!
やはり1トンなんて端から有るはずもなく、ある程度削ぎ落としたら多分300キロ位にはなったようだ。水洗いをしてから背負子で背負う。ちょっとだけ重いけど俺でも背負える。身体強化を使えば余裕だ。
ここからはこの牛は地面に付けたら消えてしまう。しかも背負子を背負いながらもう1頭行っときたいんだよ!
戦闘自体は全然手応えはない。真っ直ぐ突っ込んで来る牛の頭を潰すだけなのだ。そしてポムが後ろ足を持ち上げて居るのだが、何せ背が低い。ポムに背負うのを変わってもらって俺が捌くことにする。
ここらへんの手順はサバイバル知識で頭の中に流れ込んでくる。何処がどの部位かも調べれば分かる。牛の魔石はウルフよりほんの少しだけ大きいかな?
2頭目も無事に捌き終わり、何とか背負子で担げる重さにすることが出来た。後は帰って皮を剥いだら食うだけだ!メチャクチャ楽しみだぜ!
6層にはトータル1時間程しか滞在していないが、二人で600キロならかなりの量だと思う。ただ、ここから何キロ自分たち用に取っておくかが問題なのだ。
当然シャトーブリアン、ヒレ、リブロース、サーロインは外せない!
牛の肉だから、クセも少ないだろうし、塩コショウだけでも十分だと思う。本来は寝かせるのだろうが、そんな知識も設備も無いので、捕れたてを頂くだけだ。
5層に戻ってきた俺は、早速ソナーを使って周囲を確認する。すると凄い勢いでこっちに向かってくるモンスターの1団が居ることに気付く。
「ポム、来るぞ!」
そう言って、俺は両手にナイフを構えて待ち構える。ポムも皮剥用のナイフで戦うようだ。牛を担ぎながら戦うので、流石に鎚では戦えないようだ。
「5匹来るぞ!俺が魔法で行動阻害するからポムは右から頼むぞ!」
すると目の前にウルフが5匹、俺等を中心に扇形に取り囲むように展開する。凄く興奮しているようだ。もしや牛の肉に興奮しているのか?
ダンジョンのモンスターは階層を移動しない。出来るか出来ないかは俺は知らない。そんな状況で目の前に血の滴る牛の肉を背負った人間が現れたのだ。そりゃあ堪らんよなあ。
ヨダレを撒き散らしながら吠えまわるウルフに、俺は5匹のウルフの胴から腰辺りを地面から伸びるチェーンで磔るイメージで魔法を発動する。
すると突然伸びてきたチェーンで地面に磔られたウルフ達は、ビックリして暴れたますのだが当然チェーンは外れるはずもない。
「ポム、ちょっと待って!様子を見させて」
そう言って俺は魔法の効果時間や、ウルフがこのあとどういう行動に出るのか観察する事にした。
1番重要なことは魔法の効果時間かな。行動阻害魔法を初めて使ったので今後の為にも知っておきたい。
まあ実際、こうなった時点でとどめを刺すのだから時間なんて関係ないのだけどね。スグ倒せる敵だけとは限らないから。
すると1分で鎖が消えてウルフ達は自由になった。急いで立ち上がるウルフ達に向かって、今度は地面を泥沼化させて動きを阻害してみる。
いやぁ、マジで新たな魔法の発想が止まらないぜ!どんどんとわき出て来るぜ!これが魔法の知識の効果か!
地面に磔る魔法はチェーンバインド、今回のはスロウという魔法のようだ。そのスロウの魔法も1分で効果が切れる。泥沼だった地面が普通の土にもどっている。不思議だ。
次は睡眠の魔法を使う。するとウルフ達はバタバタと倒れていくではないか。こりゃ寝たな。流石に実験はここまでにして寝てるモンスターにとどめを刺す。簡単なお仕事です。
どのくらい魔力を使ってしまったのかも気になる所なので、帰り掛けにギルドで調べて帰ろう。そう考えながらウルフ達から魔石を抜いていく。これも大事な仕事だからね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます