第27話 ゴールデンウィーク2

昨日久々にボーリングをしたせいか、翌日目覚めてベッドから起き上がると、主に足が筋肉痛になっていた。

中学の時は毎日部活で筋肉を酷使していたので、休日にボーリング等に行っても、よっぽど筋肉痛になることはなかったのだが、もう引退して一年も経っているのと弓道部では足の筋肉を使うことがないので久々の運動に耐え切れなかったようだ。


「弓弦ー!もう10時過ぎだけど朝ご飯どうするのー?」


リビングの方から母親が大声で聞いてくる。

学校がないため起きるのが遅くなってしまったが、今日は昼から約束があるのでそろそろ準備しないとまずい。


「ごめん今日は朝ご飯はいいよ」


リビングに降りて台所に立っていた母親にそう言って、ぼさぼさになった髪を直すために洗面所へと向かう。


ー正午過ぎー


「待たせてごめん」


そう言う弓弦は最寄りの駅から電車で30分程度の駅にいた。

今日は電車で少し行ったところにあるショッピングモールで従姉と買い物をする約束をしていたのだ。


「弓弦は相変わらずだね、もう高校性なんだからデートでレディを待たせちゃいけないでしょー」


その女性、神宮司 美穂は弓弦の従姉であり実家は弓弦の祖母の家のある鹿児島にあるのだが、大学に通うため弓弦の家から少し離れたところで一人暮らししているのだ。

弓弦が小さいころから親戚で集まるときなどは比較的年齢が近いこともあり、一緒にいることも多かったので、仲は良好である。


「お姉ちゃんから見ても弓弦はイケメンだと思うんだけどねー、やっぱり小さいころから男の子とばっかり話してたからかなー?」


余計なお世話である。

耳が痛い話なので強引に話題を変える。


「昨日いきなりLINEで12時にここ集合って言ってきたけど、美穂姉はゴールデンウィーク忙しいんじゃないの?」


美穂もまだ大学に入学して一か月と少ししかたっていないはずなので、ゴールデンウィークは新しくできた友達やサークル等で忙しいのではないか。

そういう意味で言った弓弦だったが、


「それは私が彼氏できないって皮肉ってるの?」


さっきまでニコニコしながら会話していた美穂の目から光が消えた。

どうやら人のことを言う割に自分も彼氏はいないようだった。


「いやごめんそういう意味じゃないから!とりあえず俺朝起きるの遅くて朝ご飯も食べてないから飯にしようよ」


今日は何を話しても地雷を踏みぬく気がしたので、昼食をとることにした。

あからさまな話題のそらし方だったが、美穂もそれ以上追求することはなく二人でショッピングモール内のフードコートに行くのだった。


「美穂姉いいの?おごってもらっちゃって、まだバイトもしてないだろうし大学生ってお金使うんじゃないの?」


弓弦としてはいくら年上といっても同じ学生である美穂におごってもらう気はなく、自分で出す気でいたのだが会計のタイミングで財布を出そうとしたら横から払われてしまったのだ。


「心配してくれるのはうれしいけど、私ももう成人したからね。頻繁には無理だけど久しぶりに会ったんだしこれくらいはさせて」


そういいながら開いている席に座る美穂を見ながら、どうしてこれで彼氏ができないのかと考えてしまったが、流石にたった10分で二回も同じ地雷を踏むほど馬鹿ではないのでおとなしく美穂の対面に座る。

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君に捧げる一射 Kiki @koudouni

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