第10話 閑話 王国の失態



 ドレミン王国。


 西に位置する『帝国』と並ぶ程の『職業主義国』。


 そんな王国は『職業主義国』ということを置いたらとてもいい国だった。

 国は何よりも民を尊重し。平民、貴族関係なく過ごせる様な暮らしを実現させていた。中には「平民など」という思想の貴族はいるが、それは一体に過ぎない。なのでほとんどの人々は階級を関係なく穏やかに過ごしていた。


 そんな理想の国を作った現国王、ルイス・ドレミンは息子のゲイスを自室に呼び出すと詰問していた。


「――して、ゲイスよ。何故しっかりと調べもせずに『救世主』様の一人を勝手な判断で外に出した?――理由はあるかね?」


 貫禄のある佇まい。そしてその眼光を息子に向ける。


「そ、それは……」


 ぽっこりとしたお腹が特徴のゲイスは脂汗を垂らすと父王の言葉に言葉を詰まらす。


 ゲイスは須藤達が召喚された『召喚の間』にいた豪華な衣服を着た男の方だ。父、ドレミンは娘のソアラから「お兄様が勝手に決めました」と聞いていたのでゲイス一人に詰問している。


 ちなみにその娘ソアラも『召喚の間』にいた一人、豪華な衣服を着た女の方だった。


「――そ、そう! 父上。私はその者――『救世主』様の『職業』を見て怪しんだのは事実です。ですが私は騎士達に「その者を牢屋に入れろ! そして後で確認させろ!」――と声をかけたはずなのです。なので悪いのは『救世主』様を連れて行ったその騎士でございます!!」


 はぁはぁと荒い息を吐きながらも助かろうと言い訳を並べる。


「――それは、本当のことか?」

「ほ、本当でございます!! に誓います!!」

「――むぅ。そこまで言うならお前を信じる」

「あ、ありがとうございます!!」


 父に信じてもらえたゲイスは嬉しさと焦りで大量の汗をかいていた。


 そんなゲイスに釘を刺す。


「ただ、努努忘れるな。お前にも原因の一端がある可能性がある。そしてその『救世主』様の『職業』はこの世界を変える物だったのかもしれない。この期間、見つかっていないと既に……」

「は、はっ! 今も全力で騎士団の勢力を持ってして探しています!!」

「それは知っておる。それよりも、その騎士の元に連れて行け」

「わ、わかりました!」


 そしてドレミンはゲイスの嘘で心優しき騎士を『救世主』を殺害したという罪で牢獄に幽閉する。


 それが後に『王国』を揺るがすことになるとは知らずに。


 

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