新たなジャンルのヒロインと出会って翌日
Side 星之 ツナギ
翌日。
朝っぱらから今度は白い貴族服にも見える制服姿でシェリーナが来た。
他にも黒髪のおかっぱ頭でクール系な顔立ちの女の子がいる。
相変わらず腰には剣を刺しているがそう言う世界観の人間かもしれない。
シェリーナはと言うと、顔を真っ赤にして体をソワソワさせている。
「シェリーナ様は昨日から興奮してずっとこんな感じなんです」
とおかっぱ頭の女の子が説明してくれた。
「それは言わない約束だぞリーン!!」
「そんなだから目が離せないんですよ。ホシノさん――シェリーナ様の手綱を引くために入れ替わり、立ち代わりで付き人が来ますがご理解ください」
「はぁ……」
もう二度目なので慣れたもんだが一応返事はしておく。
「それを言うなら皆、なんだかんだ言って異世界に行きたがってたではないか!!」
「これは一応調査任務なんです、シェリーナ様」
「なんだか大変だなぁ……」
などと僕は人事のように思っていた。
「まずはこの世界の事を理解しなくてはな――いっそ、外に出かけるか?」
と言うので、
「銃刀法違反で捕まるんで、せめて剣は置いていってください」
少女二人がぶら下げている腰の剣を指さして僕は言った。
「じゅ、じゅうとうほういはん?」
と、目を丸くしてシェリーナは聞き返した。
「ほら、そう言うことがあるから迂闊に外に出られないんです」
シェリーナを諌めるようにリーンが言った。
「それに服装も――その制服姿で町を出歩くのは不味いかな? どこか服屋に寄って服を変えた方がいいかな?」
「なぬ!?」
そう僕に指摘されてシェリーナは驚く。
「ほら、こう言う事もありますし今回はこの家で留めましょう」
と、僕に続くようにリーンさんが進言する。
「ぐぬぬぬぬ!!」
シェリーナさんはよっぽど外へお出かけしたかったようだ。
「くぅ! そう言う事なら仕方ない……今日は家で勉強会だな」
と、シェリーナは諦めたようだ。
☆
二人に教えたのは日本の事や世界のこと。
それを丁寧に与えられた紙にシャーペンで見慣れぬ文字に書き写している。
シェリーナもリーンも紙やペンを見て驚いた様子だった。
他の世界の――エリカやジェーンの時も思ったが――僕としてはあんなパワードスーツがある世界なのに色んな物で驚くな~などと不思議に思った。
教え方だが基本はシェリーナやリーンが質問してそれに答える形式とした。
自分は教え方が分からないと言うのもある。
「まあ今のところはこんな物か?」
「シェリーナ様の言う通りですね。この世界の事はこれぐらいでいいでしょう」
出来る限りの内容を教え終えた後、流石に疲れたのは二人は軽く屈伸運動のような事を座ったままやっていた。
「あの――出来れば君達の世界の事を教えて欲しいんだけど」
「うん? そうだな。このまま教えられっぱなしと言うのもアンフェアだな」
シェリーナは僕の申し出を承諾してくれた。
彼女の話を聞く感じではマジックメイルが存在するだけで後はいわゆるナーロッパと呼ばれるような感じの世界観で間違いはない。
ナーロッパと言うのは近年のWEB小説における異世界ブームにおけるテンプレ設定、中世ヨーロッパ風の世界にファンタジー要素を取り入れた世界間の事を言う。
ご都合主義世界ともテンプレ世界観とか、まあそんな感じだ。
特徴としては――
異種族はいない。
魔法がある。
化け物がいる。
戦争の主役はマジックメイルと言うパワードスーツ兵器だそうだ。
シェリーナやリーンさん、昨日の美少女軍団を観たせいでなんかファンタジー系メカ娘もの、パワードスーツものジャンルな世界観を想像してしまう。
最近ラノベで見なくなったな、このジャンル。
二次創作だとこのジャンルの火付け役であるイン〇ィニット・ス〇ラトスが人気なんだけど。
まあなんとなく想像できた。
「とまあこんな物か――しかしこのまま勉強してばっかと言うのもアレだし、少し遊んでいきたいな」
突然シェリーナさんがそんな事を言い始めた。
「シェリーナ様、図々しいですよ。それに遊びと言ったってチェスとか出来るんですか?」
「リーン、ここは私達の世界とは違う。すまふぉのような物があるんだ。きっと遊戯の類も凄いに決まっている」
と言うシェリーナ。
そう言う欲求もあるのだろうが、洞察力、観察力がいいなとか思って何がいいのかと思う。
なにしろ異世界人が相手。
それに年頃の女の子だ。
あまり過激な奴は控えた方がいいだろう。
それでいて3人で遊べる奴。
そこで思いついたのが――
☆
3人での遊びはニンテン〇ースイッ〇になりました。
ゲームの映像を大画面のテレビに映し出す。
「これはまた凄いのが出て来たな!!」
シェリーナと同じようにリーンも「え、ええ――」と驚いている様子だった。
丁寧に操作やゲームの説明などをしている間も二人とも食い入るように画面を見つめている。
ジャンルはレースゲーム。
マリ〇カートにしておいた。
「えーとこのボタンで前進して……ふむふむ――この世界にはこう言う乗り物があるのか」
シェリーナはコントローラーを興味深げに眺めながらアレコレとキャラ操作を確かめる。
「あるけどこのゲームの感覚で動かしたら間違いなく事故るからね?」
そんな機会は訪れないかもしれないが僕は念のため釘をさしておいた。
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