わたしの誓い!
今日のセシルとの一件でとんでもないことに気づいてしまった。
それは、5歳で魔法を習得できているのはわたしくらいということだ。
しかもあれだけ完璧に魔物を寄せ付けない「ファイヤーウォール」を出すのは大人の魔術師がやっとできるレベルらしい。
でも、あの時はセシルを守るために必死だったから仕方がないわ。
緊急性があるとき以外は魔法を使わないように気を付けることにしましょう。
お勉強やいろいろと考えごとをしていると時間が経つのがあっという間だった。
ふと気づくと、部屋が少し暗くなっていたのがわかった。
使用人たちが屋敷中に灯りをつけ始めている。
そろそろお父さまがご帰宅される頃だわ。
今日はわたしは玄関に待機してお父さまの帰りを待っている。
……まだかなまだかな。
しばらくすると、使用人が玄関の扉を開ける。
「お父さま、お帰りなさいませ!」
わたしは無垢な笑顔でお父さまに挨拶をする。
そして、わたしはお父さまの懐へ飛び込む。
「ただいま、いとしのメリア! 玄関で待っててくれるなんてとても嬉しいよ」
お父さまのスイッチが入ってしまった。
わたしを抱きしめて回る速さがいつもより速い。
目がくるくる回る。
「旦那様、メリアが大変なことになってますわよ!」
お母さまの一声でお父さまは正気に戻る。
わたしは目が回りすぎてぐったりしていた。
お父さまはわたしを見てショックを受けてしまったみたいだ。
喜んだり、落ち込んだりと面白いお父さまですわ。
「お父さま、わたしは大丈夫ですわ。落ち込まないでくださいませ」
「慰めてくれてありがとう、メリア」
お父さまが正常に戻った。一安心、一安心。
お父さまが帰られたのですぐに夕食の時間となる。
わたしとお母さまは先に食堂へ行き、お父さまが来るのを待つ。
しばらくすると、着替えを終えたお父さまが食堂へやってきた。
「お待たせ。では食事をいただくとしようか」
食事の挨拶をして、わたしたちは食事を始める。
「メリア。王女様の件の報告を聞いたよ。メリアが王女様をお守りしたと。国王陛下も大変感心なさっていたぞ」
今日の一件、王宮中に知れ渡っているのね。
さすがに組織だから、報連相は徹底されておりますわね。
「ええ、旦那様。護衛の女性騎士様も、5歳でこんなにも早く魔法を習得されているなんてと大変驚いておりましたわ」
「メリアはもう魔法を覚えたのか。さすが、私の可愛い娘だ」
別に可愛いは魔法とは関係ない気がするのですけど。
「それはそうと、メリア。セシル王女殿下から招待状が来たぞ。5日後に王宮へ私と行こう」
な、なんと、セシルからお誘いがあるなんてびっくりですわ。
しかも初めてお屋敷を出て王宮へ行けるなんて、いったいどんなところかしら。
「お父さまのお仕事姿も拝見したいですわ」
わたしはあざとく上目遣いでお願いしてみた。
「メリア、貴方が一緒だと旦那様の仕事が手につかなくなりますよ」
お父さまの性格を忘れていましたわ。
「そうですね。お父さまのお仕事のお邪魔になるといけませんので、諦めますわ」
お父さまはもの凄く落ち込んでしまった。こればかりは仕方がない。
「でも、お父さまと一緒に王宮へ行けるのは大変嬉しいですわ。5日後を楽しみにしてますわね」
わたしがフォローするとお父さまは立ち直ってくれた。
「さぁ、メリア。そろそろお時間ですよ」
これ以降はもう大人の時間だ。
もっとお話しをしていたかったのですが残念ですわ。
「お父さま、お母さま、お先に失礼いたします。おやすみなさいませ」
「おやすみ、メリア」
お父さまとお母さまにお嬢様らしい挨拶をして自分の部屋へ戻った。
部屋に戻ると、セリアがわたしの部屋でお着替えの準備をして待っていてくれた。
セリアの顔を見るといつもホッとする。
「メリアお嬢様、今日はとても大変な1日でございましたね」
「本当ですわ。まさか王女様がお越しくださるなんて夢にも思っておりませんでしたわ」
セリアは自然に「うふふ」と笑みを見せる。
「しかも、王女様とお友達になれるなんて信じられませんわ」
「メリア様が、王女様を守るところをしっかりと拝見させていただきましたわ。魔法も素晴らしかったですし、メリア様はとてもご努力されておられるのですね」
わたしはセリアに褒められてちょっと照れてしまった。
「ありがとう、セリア。わたしとわたしの周りの人たちを守って幸せに暮らすのが目標ですのよ。セリアもその中に入っていますからね」
そう、わたしの異世界スローライフはなんとしても守り抜くのですわ。
「メリア様、ありがとうございます。とても嬉しゅうございます」
セリアがあまりの嬉しさで泣いてしまった。わたしまでもらい泣きしてしまったわ。
着替えが終わるとわたしはベッドの中に入る。
「セリア、おやすみなさい」
「メリアお嬢様、おやすみなさいませ。それでは失礼いたします」
セリアは灯りを消して、わたしの部屋を出て行った。
今のわたしの周りには本当に大事な人たちがいっぱいいる。
絶対に悪意には負けないわ。
そう誓いながらわたしは眠りについた……。
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