見られた

「わっ! ほんとにワープした!」


 はい、と選択した瞬間ルーファと出会った森の中にいた。

 ワープは成功。次は魔法だ!


「確か魔力があればイメージしだいで使えるんだよね?」


 魔法と言えばやっぱりファイヤーボール的なやつ! ちょうど川もあるしそこに打っちゃえ! 頭の中で大きい炎の球体が手のひらの上で燃え上がってるのを想像する。すると想像通りの炎の球体が手のひらの上に現れる。不思議と全然熱くない。

 私はそれを投げるように腕を振る。すると、川に向かって炎の球体が飛んでいく。川の水は一気に蒸発したが、まだまだ炎の球体は残っており、水の無くなった底に炎の球体がぶつかり、川の形が変わった。


「......えっと、私何かやっちゃいました?」


 ちょ、どうしよう!? 私何かやっちゃいました? じゃないよ! 明らかにやってるでしょこれ! えっと、逃げるか、うん。バレなきゃ犯罪じゃない。うん。

 私は直ぐにマップを開き宿にワープする。


 私はその時相当焦ってたんだと思う。だからマップに表示されている新しいピンクの点に気が付かなかったんだと思う。




「......ユアさん?」

「ルーファ......旅の準備しに行ったんじゃ」


 私が宿にワープするとルーファがいた。つまり、ワープするところを完全に見られた。


「準備なんてすぐに終わりますよ。それにユアさんも今日は精神的にも疲れてると思ったので早く帰って今の内にイチャイチャ......ではなく、身の回りのお世話をしようと思って早く帰ってきたんです」

「そ、そうなんだ......」


 途中、ん? と思うところはあったけど私を心配してくれてるのは間違いないと思う。

 それにルーファと一緒に旅するって決めたんだから遅かれ早かれってやつだ。


「ル、ルーファあのね? その、私、ルーファに言ってないことがあって......聞いてくれる?」

「私の大好きなユアさんの話です、聞かないはずがありません」


 それから私はルーファに話した。転生の事を話し、気がついたらあった力だと言っておいた。神様のことは話してもいいけど個人的にあの神様のことをルーファが信仰とかしだしたら嫌だから黙っておくことにした。


「そうなんですか......とゆうことは、あの時ユアさんがいきなり現れたのは、ユアさんが置いていたワープポイントを使ってワープしてきたってことですか?」

「えっ? あ、うん。そうだよ......ごめんね」

「えへへ」

「ル、ルーファ!?」


 いきなりルーファが私に抱きついてくる。頭撫でたい、可愛いといった感情をなんとか抑える。


「いきなりどうしたの!?」

「ユアさんが、私に秘密を話してくれて嬉しいんです」

「誤魔化せそうにないし話しただけだよ」

「そうだったとしてもユアさんのことを知れて嬉しいんです」


 そ、そんなこと言われたら......いや、私は百合じゃないしノーマルだと思う。けど......ルーファのことは好きだ。私はルーファを抱きしめ返す。


「ユ、ユアさん? どうしたんですか? 私の事好きになったんですか? そんなことすると勘違いしちゃいますよ?」

「......勘違いじゃない」

「ふぇ?」

「私ルーファの事好き」


 恥ずかしい。死ぬほど恥ずかしい。でも今言わなきゃヘタレの私が次に言えるチャンスがあるかなんて分からない。もしかしたらずっと言わないかもしれない。それは嫌だ。だから、今言った。体が熱い。顔も熱い。ルーファの事直視出来ない。

 でも、これだけは、恥ずかしい気持ちを我慢してルーファにちゃんと聞かないと。


「ル、ルーファ......返事は?」

「ふぇ? な、なんの......ですか?」

「わ、私の好きって気持ちに対してに決まってるでしょ」

「そ、そうですよね。わ、私も大好きです。ユアさんのこと大好きです」


 私はルーファの返事を聞き、ルーファの顔を見ると、ルーファも顔が耳の先まで真っ赤っかだった。

 私は思わずルーファの耳に手を伸ばし、耳を触る。


「あっ、ユ、ユアさん......」


 ルーファの声を聞き思わず手を引っ込めようとしたが、ルーファが気持ちよさそうにしながら、目がトロンとなっているのに気がつきそのまま耳を触り続けてしまう。


「ユ、ユアさん」


 ルーファがただでさえ抱き合っていて近いのに更に顔を近づけてきた。


「ルーファ」


 そして私たちは唇を重ねた。

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