第13話策士・田辺先生

高田と森本は宿直室を出た。

後は、田辺が青酸カリ入りの麦茶を飲めばいいのだ。

このゲームは終わる。

あと、9時間。2人は自販機でジュースを買い時間を潰した。

「もりちゃん、よく青酸カリ見付けたね?」

「あれは、技術室に置いてあって、工業科は金属つかうでしょ?カギの掛かった薬品棚をチェーン切りバサミで鎖を切ってみたら、案の定青酸カリがあったの」

2人はジュースを飲みながら、校庭のベンチに座っていた。

柵の向こうから、自衛隊員がじっと彼女らを見つめている。

「高田さん、15分経ったかな?」

「うん、20分過ぎてる」

「じゃ、田辺の死体を見に行こう」

「クラスメートを殺した、田辺先生をムッソリーニみたいに吊り下げようよ」


2人は宿直室に向かった。

宿直のドアの隙間から、中を覗いた。

田辺は寝転んだ様に、倒れていた。

「ヤッタ~、もりちゃん」

2人が宿直室に入ると田辺は眼を閉じ死んでいた。

青酸カリを入れた、麦茶がこぼれていた。

「高田さん、いい気味ね」

「28人殺して、1人は重体。天罰だわ」

「天罰で悪かったな?」

2人は固まった。

「麦茶に、青酸カリ入れたろ?」

「……」

「……」

田辺は缶ビールを開け、飲みながら、

「お前達だけは、助けたかったなぁ」

田辺はオノを取り出した。

「ヒィッ」

「す、すみません」

「ダーメ。アウト。君たちを殺す事にした」


高田と森本は走って逃げた。

その後を、田辺は追いかけた。

田辺はトカレフで逃げる高田の背中を撃った。高田は唸り声を上げている。森本は、それを尻目に走り続けた。

田辺は銃を撃ちながら追いかけてくる。

正門が開いていた。

ラッキーだ。森本は正門から出た。


ズババババッ


森本は、自衛隊のマシンガンでハチの巣にされた。

校外に逃げると、自衛隊に射殺されるのだ。

それを見届けた田辺は高田に向かった。

まだ、息はしているようだ。

「せ、先生、た、助けて!」

田辺は頭を横に振った。そして、手にした斧を高田の脳天に振り落とした。

高田は目を見開き絶命した。

その足で、田辺は放送室に向かった。


ピンポンパンポン


「え~、皆さん、高田さんと森本さんが死にました。残り4人です。逃げて下さい。もう、先生も殺したくはありません。兎に角、逃げて下さい。残りは、中川君、丸山さん。田島君、山口君飲みです」


後、8時間。どうなる?

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