開幕 魔女視点

この世はなんで理不尽なんだろう。

それが僕が魔女になった理由だ。

神は平等を作らず、不平等と争いを生み出した

それならば僕が平等を作らねばと、両親を賊に殺された時にそう思った。


そして僕は人々を助けて行った。

僕を恨む人間も居れば、僕を尊敬し、付き従ってくれる子達もいる。


しかし最近その中の1人が何かを思い悩んでいるようだった。


「魔女様」

「ん?どうしたんだい?」


私が見たその子の顔はやつれていてとても元気とは言えない様子だった。


「いえ、、なんでもございません。」

「うん、でも悩みがあったら何でも僕にいいなよ?君は僕の大切な弟子の1人なんだから!」


絶対に1人にはしない。君にはみんなと同じように幸せになって欲しいから。


「はい、お気持ち感謝致します。」


私が彼女の事で悩んでいるとある衝撃的なニュースが入った。

国が私を捕らえようと軍を動かし始めたとのことだった。


「うーん、まさか軍が動いてくるとは。

これだと平等にみんなを救う活動がしづらくなってしまったね。」


重大な問題の発生に流石の私も溜息が溢れる。ここの国王とは結構仲良くさせてもらってたつもりだったから残念だが、これには教会側の意図も絡んでいるんだろう。


その時に弟子の1人が偵察に先に行くと言う案を出してくれた。


そしてそれを採用してしまったのだ。

今覚えばあれは間違いだったのかも知れない


そして私は君を少しでも元気づけようと海に誘って少し話し合った。君も笑い良かったと思っていた矢先だった。


僕は魔術でみんなの姿を見る事が出来る。

声もノイズが多いし、プライベートな時間を覗くのはどうかと思った。しかし君が今どうなっているか気になってふと見た。


キミはある人物と喋っていた。

軍の中でもトップの兵士長だ。


「…ょはここに誘い込…お前はここでつか…

じゅん…をして…魔女の…ディングだ。」


ノイズ混じりでも理解できた。

彼女は僕を裏切ろうとしているのだ。


「あーあ、そっかぁ」


僕はすぐに魔法を解除し、ベットに飛び込んだ。

キミは僕の言う平等に、何故か少し不満を抱いていた。

まぁこれは大義を掲げるのならさせては通れない道であり、受け入れなければいけない現実なのだから。


「魔女様!ここの町のお店に行ってみませんか?」

「うん!いいね!」


彼女が僕を誘った時、僕はもう、諦めたのだ。


パスタを食べ終わり自然な雰囲気で


「キミさ、僕の事裏切ろうとしてる?」


私は最後にキミからの言葉を聞きたかった。

しかし、

「フフ、そんな訳ないでしょう。」


そう笑ったのだ。


私はいつ捕まるのだろうと思っていたら広場でとある劇がやっていた。

魔女の劇だ。

まさに魔女が捕まると言うシーンだった。

しかし魔女役はいない。


もうキミは隠す気は無さそうだ。


「ほら、魔女様!行ってみましょう!いや、

早く行け”業火の大罪の魔女”」

「あぁ、そうだね。」


僕が昔、賊を殺した時に王族がその中にいてそう呼ばれるようになったことを思い出した。


「正直、貴方に言われるまで裏切ろうか悩んでいました。」

「そっかぁ、じゃあ僕が悪いね。」


そうだ。全部僕が悪いんだ。

キミは、ただ1人として見て欲しかっただけだったんだね。それで初めて1人として見た時があの時だった訳か。


もうダメだな。


舞台の中央に立ち、僕は縄で縛られ連れて行かれた。逃げる事も出来たが、やめた。


そして3日が立ち、僕は今柱に縛りつけられている。

足元が燃えて激痛が走る。


キミは僕を見る。

僕は今どんな顔をしているんだろう?人生の幕引きに似合う顔かな?


そんなことを考えて、私は目の前の人にお辞儀をした。

主役がいなくなる時は、それの引き立て役も変えるべき。

だって、”平等”なんだから。


私はその人に魔術で火をつけた。皆は混乱しながら逃げ惑う。付けていくと、殆どが燃え始め最早痛くも無くなって来た。


私は最後に貴方をみて、ペコっとお辞儀をした。そして貴方も理解したように頭を下げたそれが最後に見えた。


閉幕

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