第16話 余白を作ろう(横書きの宿命)

「これで段落が分かりやすくなったわね。プレビューで見ましょう」


 ひながプレビューを押すと、りんご飴は、さっきよりも形が良くなっていました。


「でもまだおかしい」


 ひなが言うと、みちのがプレビューから編集に戻してパソコンを見るように言いました。


「ほら、私のと見比べてみて。何が違う?」


「みちのさんのは、余白が多いですよね。私のは続いている」


「正解! 縦書きの文章と違って、横書きの文章は行が認識しづらいらしいのよ。だから、ある程度意味のあるかたまりに分けた方がいいわね」


「どういうことですか?」


「例えて言えばね、ひなちゃんのはスライスしていない食パンのかたまりみたいなものなの。食べづらいじゃない。まるかじりする? それを食べやすい所でスライスするの。そうすれば食べやすいでしょ」


 みちのは、プレビューに細工をして、どちらの作品も食パンに見えるように変えてみました。


「本当だ! 私のは食べづらい」


「食べづらいってことは、読みづらいってことよ。さあ、スライスしましょう。いい、サイズじゃなくて、意味で分けるのよ。意味のあるかたまりにするの」


 ひなは時間をかけながら、意味が分かるように空白の行を入れていきました。


「できました!」


「はい、じゃあプレビュー押してみて」


 ひなの目の前に、形のいいりんご飴が出て来ました。


「やったー! できた!」


 ひなは大喜びです。みちのはそれを見ながら、さらにアドバイスをしました。


「ほら、スマホの画面とパソコンの画面を見比べて」


「あれ、行の数が違う」


「そうなの。スマホでは1行約20字、パソコンでは約40字、倍くらい違うの。文字サイズでも変わるわ。ちなみにひなちゃんはアプリの中の文字だから、そのスマホだと1行15字ね。見る媒体とアプリの文字によっても違うのよ。だから、たまに見比べて見るのも大事ね。パソコンとスマホで3行が10行になることもあるわ」


 ひなは見比べてみて、余白も開ければいいんじゃないという事を学びました。

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