おまけ3 3年後は戦場に半裸が大量発生です‼️

 王都の北はグラン侯爵領、その更に北の端、隣国との国境近くにあるのが『魔法自治区』だ。

 自治区と言っても、精々大きめの街程度。資金は全て王宮が出しているから、要は飛び地にある王領だ。

 『魔法自治区』には、王立学院で上位の魔力量を持ち、なおかつ学究に優れた者しか行けない。

 魔法学徒100名あまりと、その家族、限られた商人が住むだけの街……

 魔法には謎が多い。属性があり、なおかつ呪文を唱えさえすれば発動するが、その原理がわからない。

 無詠唱でもいける、イオとミウがおかしいのだ。

 未来のために研究に当たってくれる彼らを、保護こそすれ、攻めいるなど考えもしない。

 そんな不文律を破ったのがグラン侯爵だ。

 この世界には『隷属の首輪』なんて、便利な道具はありはしない。

 彼らの父を、母を、夫を、妻を、子を、兄弟を人質にした。

 嫌々戦場に立つ彼らの前に、

 「なんだ、随分集めたなぁ」と、転移して来たのがイオ・リバーウェルだ。

 転移が出来る人間など、歴史上数名と言うところ。

 「じゃあ。」

 一拍おいて、前方3分の1の兵士に、馬に、魔法学徒に、重力魔法が放たれる。


 イオは、仲間には徹底して甘く、敵には一切の容赦がない。しかしながらその間にいる、敵でも味方でもない人達には寛容だ。

 そして今目の前にいる侯爵軍にも……

 何かの事情があって侯爵を裏切れないだけ、好きで戦っている訳ではないとわかっている。

 だから、押し潰しはしない。

 動けなくしただけだ。

 「鎧を着てないのが魔法学徒か⁉️」

 確認し、尋ねる。

 「お前ら、人質取られてる⁉️」

 彼らの肉親がそのまま自治区に押し込められ、数10人の兵士に監視されていると聞き、

 「わかった‼️」と、イオは転移。

 数分後には『片付いた』と戻って来る。

 代表者が共に転移(自分以外を転移させられるなど、前代未聞だそうだ)させてもらい、確認すると……

 兵士は全員、宙に浮いていたらしい。

 「重力魔法の逆さまをやってやった」と笑っているが、こんな常識外の使い方、考えられない。

 「くそう‼️おろせ‼️」と叫んだ兵士は、次の瞬間、『空に落ちた』。

 高速で、自由落下のように上っていく。

 止めてもらった時には、あまりの恐怖にほぼ人格が壊れていた。

 今前線にいる兵士と違い、『魔法自治区』を落とした実績のある彼らに容赦など無い。

 前線に戻りイオは叫ぶ。

 「魔法学徒は馬で自治区に戻れ‼️侯爵軍は、自ら武装解除、鎧も武器も捨ててパンいちで王宮軍に降伏しろ‼️しないなら、オレの敵と見なす‼️」

 重力から解放された前線から崩れ、兵も将も服までその場にかなぐり捨てる。

 世の中には手を出してはいけない相手がいる。

 戦う前に終わっていく……

 

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