第4話 結果良ければ全て良しという大昔からの格言がある。

「ふぅ…趣味で作ったからとはいえ視点が低くてかなわんね。」

『んなこと言ってる暇あったらはよ行けぃ。』

「え〜…久しぶりにこんなロリが神のように降臨したんだから、もっとこう反応とか無いわけ?」

『神様にそんなこと求めんなし。生憎、私は性欲を持ち合わせてないんでね』

「それなのにS適性はある…と。」

『…』

「なんかいわんのかーい!」


は、線路の上に立っている。たった今ウン百キロで通り過ぎていった暴走列車からうまいこと魔法的なフラフープ的ななにかで脱出したところだ。

いやー体も女の子になっちゃって…まるで生まれ変わったみたいだぁ…

これがよくある、『ロリっ娘転生』ってやつかっ!幼い体は元気なもんだ…肩こりもなくなって…

っていうのは言葉の綾(??)っていうやつで、実際は体の構造がほぼ完璧に書き換えられてるから疲労感とかストレスがブワッと何処かに飛んでいったせいなんだけど。


このせいで…異世界では(以下省略)

なんでこうも社畜に対して使い勝手が良い能力ばっかりなんだ、私は。


「衣装ももう少し機動性高いのにしときゃよかった…」

『あんたの黒歴史の結晶だからね。しっかりとっときな。』

「う〜い。」

『…その格好でおっさん臭い返答の仕方すんな、気持ち悪い!』

「え〜…んなこと言われても…」


ま、そりゃそうですか。今の私は、スーパー美少女ちゃんだからねっ!


個人的に注目してほしいのが、まず髪の毛。髪の毛は女の命っていうでしょ〜?この体を作ってから、当にそのとおりだなぁって思ったんだよね。だから、髪のサラサラとか、髪の長さはめちゃくちゃ気ぃ使った記憶があるなぁ…

あ!気を使ったといえば髪の毛の色!

実はですね…あっちの世界では髪の毛差別があってだな。具体的に言うと日が暮れちゃうから話さないけど…ま、黒い髪が悪魔の象徴!こっわ〜い近寄らんとこ!みたいな感じだったから、不用意に黒髪にするのは憚られたんだよなぁ…黒髪好きなのに。

それで私が目をつけたのは、そう純白!

白は神聖なイメージがあったりだとか、女神様の寵愛がどうのこうのらしく、結構人気な髪色だったんだ、あっちの世界では。

…まぁ当時の私は知る由もなく『ロリキャラに白って、なんか近寄り難い気がするし、無邪気で可愛い感じが出るのではないか?』みたいな発想でこの髪にしたんだけど。

あ、一応髪はツインテールにしてる。上側のやつ。髪は皆が思ってる以上に長いから、結構テールの長さは長めになってる。

そこに、義賊っぽさを意識して、小さいシルクハットの防止をちょこんと乗っけているのがチャームポイント♡むっふふ…くぁわいい…(※こいつは男です。)


次に見てほしいのが、ほらこの目!!

めっちゃ切れ長なのよ!でも、キツネ目ほどじゃなくて、こう…まぶたをちょっとだけ開いたら、真ん丸な瞳が開く!みたいな、超微調整を施してます。

このときはほんとに大変だった…悩んで悩んで三日くらいして、『俺、何やってんだろう』って気になるくらい頭がおかしくなるほど、ここに気合入れてたからね。

まだまだ続くよ目のトーク!

瞳の色は、蒼。蒼天の霹靂ってよくあるじゃん。宝石でも、サファイアってやつあるじゃん。あれです。

ここも悩んだ。けっこー悩んで、結局一番好きな色だったこの色にした。

いや、相性がとは言うものの、これが何だか『自分であるのに自分が中にはいって自分が別人を演じる』的な感じでいいかなと思ったんだ。


最後!顔!!!!!!!

これはもう言うまでもないかもしれん。

優勝、ただその一言。

決して、完璧なロリというわけではない。むしろこの姿に関しては不完全なロリである。

身長も少し高めだし(まあそれでも百二十〇センチくらいなんだけど)、顔も丸っこいわけじゃない。少しシャープだ。

口だってそこまで小さくないし、目もさっき行った通り切れ長。

愛され萌っ娘系統ではまったくないし、別にクールで尖った印象もあるかと言われたら実はそこまでなかったりする。皆の太陽元気っ子なイメージも伺えない。


しかし、このロリにはあるのである。


確かに、個性がとんがっていない点に関しては負けを認めようじゃないか。その子達に共通してあるステータスである、子供の無邪気さ。自分の気持ちをそのまま表したかのような無垢な存在は、天然物でしか得ることの出来ない至高の品だ。

たしかに強い。歳十五年(実際にはその倍以上はあったりする)という年月を終えてしまっている今、私にそれを再現する力は皆無だ。おみそれする。


だがしかし…

愛想も、冷酷さも、陽気も。全て注ぎ込まれていれば全く問題はない。

個性がない?個性が無いことのほうが個性というのは考えたことがなかったか?

…トライアスロンという競技は知っているだろうか。ルールによって多少種目は異なるだろうが、スイム、バイク、ランという三つの競技を連続して行い、タイムを競い合う1974年生まれのスポーツ。

その競技の中では、例えどれだけ早く泳げても!どれだけ早く自転車を漕ごうとも!どれだけ早く地に足をつこうとも!!


そこにあるのは、圧倒的な現場対応力。すべてを置いてけぼりにするような起点の速さ。何でもこなす器用さ。誰とでも話せ、誰に立って平等に接することの出来るコミュニケーション能力。

そして、それらがあるからこそ折り為せる、謙虚の心。

それ即ち。成人りっぱなおとなに他ならない。


しかし。ロリという年齢であることは確か。

そう、ロリは、ロリなのである。大人がッ!身を張ってでも!守らなければならない、脆弱な護衛対象なのであるッ!!!

例え、どれだけたくさんの経験を積み重ねようとも!例え、どんな辛いことがあってこうならさるを得なくなった境遇があるにしろ!


ロリは!!!!!ロリなのである!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!


これこそが!私の見つけた、ロリの新たなる境地!

姿

大人としての気概を見せつつも…体格、そして精神的には未だに子供。

この両概念が、当に天文学的確率で!

五十fifty五十ごじゅうの圧倒的安定感の中でこそ成り立つもどかしさの頂点!!!!


これこそが…





だ。





…………………




『だ〜か〜ら!!!早よ行けッ!!!!!』

「は〜い♪」

『うげッ!実際にそれされるとこっちはこっちでなんか腹立つ!!!』


…こんな駄弁ってないで、さっさとやりますか。

どうも変身魔法を使うとテンション上がっちゃうみたいだね。

魔法の性質上、大体こんだけ魔力を使ったら失神するものだけど…私の場合はほぼ無限大みたいなもんだし、今が超楽しいしまぁなんでもいっか!!

よし!自己問答プレゼン終了!


それでは改めましてぇ?


「『mode:speed』」


ビュンッ!!!

即座に加速。あまりの速さに、衣装から火種が出かける。

おっと危ない。流石に燃えたら昔の私に怒られそうだからダーメ。

…正直衣装についても語り尽くしたいところなんだけど、今は自重する。一の命のほうが大切だからね。


あっという間に電車に追いつき並走する。うーん、終点まで7kmくらいかな。このスピードで行くと…うん。衝突まで一分もない感じね。把握!

うーん…しかしココはどう止めるか…どの魔法使ってもどんな方法をとってもこの美少女ココに極まれりの姿(リージョンフォーム有ります。)ならなんだって映えちゃうし…

でもかと言って考える時間も無いしで困った。いやはや…最初は出来るだけ可愛く人前に登場とかしたかったんだけどな…


…まぁ細かいことはやってらんないし、強硬策で行くとしますか!


「ブースト!『快速grade up mode:speed』」


ズドヒュンッ!!!!

さっきとは比べ物にならないスピードで加速。全てが線に見える時間はたったの0,1秒のみ。

バトミントンのハネさんもびっくりの圧倒的初速は、猛烈なGを私に加えながら、私を目的地まで連れて行ってくれる!

ほぼ一瞬で電車の前に立つ。これが光の速度ってやつですね。そして後ろ向きに走って急激に減速しながらすぐさま腰を落として構える。


さぁ…いきますよ〜!せ〜〜〜〜〜〜〜の!!


「『mode:power』!」


ふんぬ!ぬぉおおおおおおむ!


ドゴォンッ!ザザザザザザザザザ!!!ギギギギギギギギギ!!!!


A〜〜〜〜〜〜〜!!!魔法の音ぉ!!


衝撃音が当たりに撒き散らされるッ!

私が減速したと同時に私の腕と電車の車両がぶつかる!またさらに猛烈なGが私の小さな腕にかかるッ!

電車の前部分はひしゃげ、車掌席が半分潰れてしまった。ギギギ…と金属が負荷を加えられて耳障りな音を奏でる。

車掌さんはなんとか逃げれたみたい。ブレーキも、通信もなんもかんも受け付けなくなってるから、自分を安全な場所に避難させることを優先したんだろう。偉い!花丸!

フロントガラスは全部、力を加えた一瞬で砕け散り、破片一つ一つがどういうわけか物理法則を無視して、私のやわで白くてすべすべな肌を襲う。ま、それ一つ一つに火がついていても別に傷つかないんだけど。

そのまま足で踏ん張るが、流石に一瞬で止められるわけもなく、そもそも止めたら止めたで乗客の半分は、慣性の法則に習って前の方に吹っ飛びつつ、先頭車両に叩きつけられてばたんきゅ〜(死)してあの世行きなので、ある程度力を入れつつ、電車とともに体を流していく。

おかげか徐々にスピードは落ちついていく。線路の木のところ(あれなんて言うんだっけか。)をバギバギバギ!と真っ二つに足でぶった切り、木片と砂利をアホほど巻き上げながら、私は力を加え続ける。


しかし、どうやらまだまだ足りないようで一向に止まる様子はなく、終点まで一直線に電車は進む。

終点まで、時間換算で後三十秒ってとこか?

私は舌打ちを堪えつつ、更に集中力を高める。


「これ間に合うかな…?というか、この状態からまだ速度上げるつもりなの?全く、使こりゃ、もう少し乗客の皆さんには踏ん張っていただくとしますか!『怪力grade up mode :power』!」


ズンッ!!!グシャッ!

更にぐっと力を入れる!体全体に電気がほとばしる!それと同時に力が流れでェル!溢れでェル!!

風で私のツインテールがなびくなびく♪うんかわいい(当然)。

先頭車両の顔は完全に潰れ、ぐちゃぐちゃになって見るも無惨な姿に。電車って、なんか顔に見えるから潰れたときは怖く見えるよね…電車好きの子供泣くよ?これ。

おっと。更に力が加えられたせいで、電車が前に傾いて立て続けに線路を外れて倒れそうになる。調整調整っと。


あ。今の私は、魔力を引き換えに力を強制的に出してる状態なんだよね。異世界で身につけた、最強の技。魔力っていうのを一種の通貨として、対価として、様々な現象や変化を引き起こせる。

魔力についての説明は…めんどくさいし省く!

魔力をもってる異世界の人々は、それで火を起こしたり、水を超速度で噴射させて敵を切ったりすることしか出来なかったけど。私は違う。

25年向こうでこの生きて、特訓して、戦って得たこの私の濃密で、甚大な魔力。

その気になればを味方につけて戦うのも造作のないこと。

そんなことはそれこそめんどくさいししないけどね。


さて、こんな小説の途中に挟まれるような雑な自分の振り返りは置いといて。


圧倒的な力に電車の推進力が負けて、所々車輪が線路に空回りする。

そのおかげか、ぐんとスピードが落ちた。乗客の皆さん大丈夫かな。

だが、車輪の部分は耳障りな金属音を奏で、紅い火花がほとばしるッ!

その火花が、まるで意志を持ったかのように動き出し、集まり、なんとも言えない造形の虎を形作りこっちに襲ってくる!

これ、


「傍から見たら、現代ファンタジーの映画撮影だろなこりゃ。うーん大見出し確定演出。すり抜けはないな。」

『撮影だとしてもハイクオリティだなぁ…まぁ、こんな馬鹿げた現象見たらまずはテレビの企画を疑うだろうね。テレビの企画って、とことん体張るトコはとことん体張るもんねぇ…。まぁ、一般人の皆さん方はそこから先は考えることないだろうけど。一番最初に人間は自己の常識に事象を当てはめて、ソレの特徴が当てはまるような想像をして、正体を特定するから。自分に関係ないことに関してはその傾向がまぁ強いのなんの。わー面白いことやってるなぁ…写真とっとこ。パシャパシャ!で終わり、みたいな。』

「うーむ…やけに説明口調なのは、ネット小説の影響かな?」

『人間が考える物語は面白いねぇ…出てくる種族や主な人間性は変わりないのに、ここまでストーリーにバラエティをもたせるなんてねぇ。』

「…この気の抜けた声、ギィギィメラメラうるっせぇ音でかき消えたら良かったのに…」

『諦めな。私からは逃れられん。』

「あんたが言うと一気にそのセリフかっこよくなくなるからやめい。」


まぁ…この通り全然効いてないんですけどね。ガラスの破片が効いてない時点でお察しってやつ。

うーん…このまま行ったら確実に電車止まるし、それはそれでいいけど。

でも、ちょっと懸念すべき事が発覚した今、今更感はあれど、今後のことを考えると目立ちすぎるのもアレだと思うんで…今の私めっちゃんこぶっカワイイし…この最高傑作黒歴史が燃えたりするのも嫌なんで。

ちょっとには黙っててもらおうかな。


「『mode:disolve』…はっ?」


そう思って、解呪の魔法を放った瞬間。確かには消えた。

しかし、イタチの最後っ屁とでも言うように、列車全車両を数m浮かせたんだ!

いやちょ?!やってることやばすぎッ!?マジで死人出したがってるんだが?!!


「ハァ?!クッソマジめんどくせぇことしやがってェ!!『mode:power』!『mode:grand』!『mode:mitigation

』!『mode:adjustment』!魔法融合evo mode:adhesion!」


続けざまに魔法発動。

別方向のベクトルから力を込め、列車の周りの重力場を月よりも弱くし、浮いた分の力の散乱を0にし、ゆっくり線路上に降下させる…位置もできるだ調整しながらゆっくり…!

が、ホームはもうすぐ。スピードも、その辺りを走る車程度には抑えられたものの、大きな駅のため、ホームには大きな屋根が…このままじゃぶつかる!

クッソ!重力場軽くしすぎたか…!

しょうがねぇ!力場解除!柳さん!乗客の皆!頼む耐えろ!


「うおおおおおおおおお間に合えぇぇぇぇぇぇっっっ!!!!」


ズガンッ!ガン!!!ガガガガガガッ!!!!!!


「どぉりゃぁっ!」


ガガガガガガがガガガガッ!!!!!!


キィィィィィィィィィィィッ…!!!!!


「はぁああああああああああああああああああああああああッ!!!!」


フシュゥゥゥゥゥ…


「っぶねぇ…」


私はその場でへたり込む。私の背中がバンパーにつく前に、電車は動きを止めた。

わ、割と結構ヤバかった…


…うん。この事件の首謀者は完全にどっか行ったね。ぜってぇとっちめてやっから覚悟してろやこのアマ。


別世界関連はオルに散々言われたからめんどくさいことが確定してんだよ!望んでねぇんだよそんな事件!!!勘弁してくれ!!

こんな目立つためだけの事にどれだけの説教をされたか分かってんのかオメェ!

こんなあからさまオクラホマなことしたら、首突っ込んじゃった私が対処しなきゃじゃんか!

ッチッ…次こそ全力出してぶっ潰してやっからな…うう…もっと軽い銃乱射テロとかが良かった…

後はそれこそ爆弾魔とか…


あ。そうそう乗客は…『mode:search』。…骨折十数名、打撲、捻挫その他軽傷が半数ってトコか…うーん骨折2桁はちょっと対応遅れたな…反省点多めだな。後で稽古つけてもらお。


ざわざわざわざわ…!


「あ。」


人だかりが…。

まあそりゃそうか…こんだけ爆音出しまくって電車止めたんだもんな。しかもこんなコスプレ(正装です。)したvery very briliantなcute少女が。

スマホを構えて写真を撮るフラッシュ音がちらほら。

ふふ…これで私の計画第1段階は完全クリアだろう。

ここから…私の正体不明の義賊RPの幕開けというわけだッ!!


フフフフフ!ハーッハッハッハッハッハ〜!!


「…幼女パンツ…いと貴きなり…」


は?


……………


「のぁぁぁぁ?!『mode:flash』!『mode:transport』!」


…これが、の…『救命ロリ』の世界ネットのおもちゃデビューである。

クッ…!ある程度有名になるのは良いんだけど…この認知のされ方はダメだって…

ああ…またつぶやき上がってる…


…ちなみに、パンツの写真はうちの神様的なうんたらであるオルに土下座していい感じにデータ消去しました。文字通り完全抹消。保存データも何処へやらポイされました。ネットでは急なおパンツ画像消去で更に一時期話題に。

結局美少女おパンツチラ見え事件の記憶は消せないままで、しばらくはトレンドにされました。


あ、また上がってる。

何だよ…#今日のおパンツ予想って…ブルーベリー柄なんて誰が着るんだよ…でも、私はすごく丁寧に可愛く書いてくれてるっていうがもどかしい…


はぁ…


______________________________________


星が、ほしい。(迫真)

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