第5話 骨にも鬆が入る

 時期を過ぎた大根や牛蒡など、あるいは煮過ぎた豆腐などの話だが、その内部にできた隙間や穴が鬆(す)である。

「鬆が入る」という具合に使う。


 この鬆が骨に入ったような状態を「骨粗鬆(しょう)症」と言う。

 骨のなかがスカスカで脆くなると、わずかな衝撃でも骨折しやすくなる。


 硬いはずの骨がスカスカ状態になるのは、骨の成り立ちと関係がある。

 古くなり劣化した骨は、新陳代謝されて新しい骨へと生まれ変わっているのだ。


 骨を作るのに必要なカルシウムは、腸から吸収されて骨に取り込まれる。

 …が歳を取ると、腸からの吸収が悪くなってしまう。


 また、女性ホルモンの分泌低下も骨粗鬆症に関係するため、特に閉経後の女性に発症しやすい。

 エストロゲンの分泌量が減ると、骨吸収が異常に高まり、骨形成が追いつかなくなる。

 つまり、溶けてしまった部分を新しい骨で埋め合わせることが間に合わなくなり、スカスカ状態の骨になってしまうのだ。


 女性の骨密度は、18歳くらいでピークに達し、40歳代なかばまではほぼ一定で、50歳前後から急速に低下する。



 食べ物にしろ、からだの骨にしろ、いずれにしても好ましい状態ではない。

 できるだけ、鬆が入らないようにしたいもの……。

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