ガチモブ転生~名前も能力も設定も特に無いシルエットが使い回されるタイプのモブに転生した~

あじたま

第一章 転生しました、今世はモブです

第1話 転生したんだけど、モブの身分でどうしろと

前略、転生しました。

あほ程雑な導入から始めるな。

そう言いたい人もいるだろう。

しかし、考えてみて欲しい。もうほぼ開拓されきったゲーム転生モノ。

死に様とか、トラック、自死、ゲームのやりすぎ、残業のし過ぎによる栄養失調、心不全etc.

もう、言われ尽くしたと思う。

因みに一応俺の死に様に触れておくと、案の定VRゲームのやりすぎによる栄養失調である。

なんの面白みも無い最期だった。

さて、そこまでだったらよくある事だ。

違ったのはそこから。

俺の死により、世間的にVRゲームの存在が周知、それと共にその危険性に関する議論が白熱し、その安全性を研究すると共にVRゲーム用機器の性能自体がアップしていき、最終的に、めちゃめちゃ流行った。

頭おかしいのか?

人死にが出たのやるとか。

俺なら絶対に………やるかもなぁ。

まして、VRとか言う浪漫の塊なら。

まぁ、それは兎も角、そして、大多数の人間に支持されて、誕生したわけだ仮想VRの神が。

そいつの手により、俺は転生させてもらった。

曰く、感謝だと言う。

俺の事件なんか無くても、いずれ流行っていたと思わなくも無いが、感謝を受け取り、転生したと言う訳だ。

そして、転生先を選ぶさい、俺はこう言った。

「今までやったゲームとキャラの中からランダムで」

と。

これが全ての間違いの始まりだった。

何がどうして、俺は超がつく、「聖なる神と希望の王」の黒いシルエットに、モブAとか、町人E的な感じで使い回されるタイプのガチでマジなモブに転生したのだ!!!

何故神ゲーでもクソゲーでもなく紙ゲーなのか?

それは、このゲームのストーリーもセリフの内容もキャラの魅力も、その全てがペラっペラだからである!!

因みに、声優も超が付く下手さだ。とは言え、全ルートクリアする頃にはそれが癖になっていたりする。

なんでそんなゲーム買ったんだよ、と言われるかも知れないが、それは、「第零段広告」と呼ばれていたモノが原因である。超有名実力派声優に超有名ストーリーライター等々、あらゆる「大御所」の名が乗った広告が、初期の開発段階でうたれたのだ。それを見た俺は即購入を決意、様々な情報を集めた。しかし、その広告をうった直後、開発元の会社が倒産寸前にまでなり、金を払えなくなり、ド素人で代用した結果が紙ゲーと呼ばれる所以だ。それでも、俺は、ま、まぁ、絵とかは初期に発注してて結構ましな感じだし、戦闘面とかのシステム周りはわかんないから……と、買った。7690円(税込)。

そして、結果、やはり紙ゲーだったが、戦闘面がそれなりに俺好みだったのと、他にやるゲームも見当たらないVRゲーム黎明期だったので、仕方無くやり続けたというわけだ。

さて、それは兎も角

「うわっ、初期値低っく」

悲観してばかりもいられない。

と、言う事で、俺は転生特典たるステータス的な奴、正確には聖なる神と希望の王のゲームのいわゆるホーム画面とか装備画面、ガチャ画面を見ていた。

それでキャラ画面から自身の所持キャラのステータスの初期値を見ていたのだ。

因みに、こんな感じだ。


役職 王都アルテナの住人

レベル1

クラス 未設定

ステータス

生命 100

魔力 100

筋力 100

耐久 100

瞬発 100

総合能力 500

成長値 500

スキル

生活魔法レベル1

斧術レベル5

派生スキル、

伐採レベル3


うーん、この。

因みに、どのくらいクソステか言っておくと、最低レアの最低ステータスだ。個性の個の字もあったもんじゃ無い。

成長値100ってのも最低値。

ガチよえー。

因みに、我らが主人公様の初期ステの総合値は3000。俺の六倍である。

というか、今気がついたが、だな。

このゲームのキャラ育成は主人公だけ少し違っている。主人公のみ、成長値が自由に割り振れるのだ。

レベルアップごとに成長値を参照して各種ステータスが上がっていくのだが、主人公以外は、各種ステータスごとに成長値が固定されている。

そのため、主人公は基本的に全てのクラス、及びクラス特性が使用でき、無課金にめちゃめちゃ優しい仕様だった。まぁもっとも、各々のキャラごとに固有のスキル等々あり、流石に区別化はされていた。

それでも、主人公のみが使えるステータス再編アイテムなどで、物凄く重宝された。

それに、このゲーム、仲間になったキャラと仲を深めるというコミュの要素もあるのだが、生命の値が夜のイロイロに関係してくる。と言うかそもそもこのゲーム、キャラからの好感度自体が直接世界の命運を左右する。仮に、全ヒロインの好感度0の状態でラスボスまで行ったら、主人公の最強ビルドで挑んだとしてもぼろ負けだろう。

兎も角、キャラクター達との微エロ、R指定イベントを見るためには、この生命の値が重要になる。そのため、生命全振りなんて頭の悪いビルドが生まれたわけだ。

俺には関係の無い話だがな。

それはさて置き、今後の行動方針を決めよう。

「なるほどね」

俺は自室の窓を開いて外を確認する。

綺麗な中世ヨーロッパ風の街並み。

ゲームのオープニングで見慣れた王都アルテナの街並みだ。

分かったことが一つ。現時点で、おそらく、オープニングの前だろう。

オープニング後ならば王都の街並みなぞみる影もないからな。

「よしっ!」

逃げるか!




コメントとか星とかハートとかくれると狂喜乱舞します。

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